家庭の常備薬としても知られる百草丸。木曽地域に古くから伝わる胃腸薬ですが、その原材料を生かして新感覚のスイーツが誕生しました。「百草スイーツ」とはどんなものなのでしょうか?

Q「百草丸」は知っている?
街の人は:「知っているよ。木曽の百草丸ね、知っていますよ!健康面で百草丸、俺も飲んでいるからね」
街の人は:「おなかの調子が悪かったり、食欲がなかったりするときに一家に1本というより、息子も持ち歩いているので、一家に1本どころじゃないです」
街の人は:「分からない…でも見たことはあります。飲んだことはないです」
街の人は:「知らないです…見たこともないです。昭和っぽいなぁと思います」

古くから家庭の常備薬として知られる「百草丸」ですが、今の若者の中には知らない人もいるようです。
そこで、百草丸が生まれた木曽地域では認知度アップを目指してある取り組みが進んでいます。

長野県製薬 上出栄治さん「百草スイーツを始めました。若い方にはなじみがない人もいるということで、若者はスイーツに興味があると思って『百草の里』として地域振興をしていきたいという取り組みです」
木曽の「百草丸」を若者にも知ってもらおうと考えたのがスイーツ!

百草丸は直径4ミリほどの粒状で独特な香りとほのかな苦みがある胃腸薬です。その主成分は、キハダというミカン科の樹木の“皮”を煮詰めるとできる黄柏(おうばく)と呼ばれる生薬。

御嶽信仰の山岳修験者の常備薬として重宝され、木曽地域に「百草」の名で根付いていったとされます。

百草スイーツは、キハダの実を煮詰めて作ったソースを使った商品です。そこで気になるのは、味や薬効ですが…。
長野県製薬 上出栄治さん:「キハダの“実”を使っているので、百草の苦みを出してそれを体感してほしい狙いですが、薬効はありません」

薬効はないとのことですが、木曽地域では、7つの飲食店がすでに「百草スイーツ」を提供しています。そのひとつ木曽町にあるカフェ「スマイルトレジャー」を訪ねました。

メニューを見ているとありました、百草スイーツが!お洒落なパフェです。
こちらの店で提供している「百草パフェ」は、抹茶アイスや小豆など和を感じるテイスト。苦みのあるソースを生かすためスタッフみんなで話し合って加えたものがあります。

スマイルトレジャー 吉村友美店長:「普通の和のパフェの時にはヨーグルトを入れませんが、今回のソースにはヨーグルトがすごく合うのでヨーグルトを入れました。そこが和のパフェとしては珍しいかなと思います」
4月上旬から提供を始めた百草パフェは、すでに300食ほどのオーダーがあったという人気メニューです。

スマイルトレジャー 吉村友美店長:「とても苦いソースなので食べた時に苦いという感想だけではなくて、おいしいと言ってもらえるソースになるように改良しました」
百草ソースにゴマや黒みつを混ぜることで香ばしさも感じられ、こだわりのヨーグルトもキハダの苦みを柔らかくしてくれます。
スマイルトレジャー 吉村友美店長:「木曽でしか食べられないスイーツなので、ほかの店舗でもいろんなスイーツを食べ比べしながら木曽を楽しんでもらいたいです」

地元の道の駅では百草の苦みをダイレクトに感じられる一品があるということで訪ねてみました。

道の駅日義木曽駒高原の大人気商品=百草ソフトが百草スイーツの火付け役。去年10月から提供を始めて半年余りの間に3000個以上を販売しました。百草ソフトはとにかく苦みを強く感じられることが売りだといいます。

道の駅日義木曽駒高原 海老澤将社長:「文化と歴史が詰まった百草をどうやって発信していくかということで、百草スイーツに至りました私たちが始めましたが、多くの仲間ができました。木曽郡の中で百草スイーツを扱ってもらえる店を年内に20店舗まで増やしたいです」
木曽地域に根付く「百草」を受け継いでいくために。「百草スイーツ」が大きな力となるかもしれません。