ボートで高校総体優勝も...なぜ大学を中退?

幼少期から様々なスポーツに取り組んできた太田選手。進学した備前緑陽高校ではボート部に所属。高校総体で優勝するなど、ボート選手として将来を期待されていました。

そして、五輪を目指すために大学ボート競技の強豪・日本大学に。しかし、太田選手は入学してわずか7か月で大学を中退してしまいます。

ー大学1年の時に中退されて、どういうことがきっかけで?

(太田選手)
「本当に五輪を目指してやっているということが自分の中であったので」

「日本のレベルと自分自身のレベルを比べて見たときに、『日本代表に入れるか入れないか』みたいな所にいる自分が五輪を目指すところに行けないんだ、という挫折みたいなもので」

「完全燃焼して、ボートへの熱が冷めてきて、中退するというかたちに」

岡山に帰郷 ひょんなことから訪れた「転機」

大学を辞めた太田選手は、岡山に戻ります。しかし「両親に申し訳ない」と実家には戻らず、知り合いの家に身を寄せていました。そして、アルバイトをしながら新たな進路を模索していたところ、転機が訪れました。

(自転車競技 太田海也選手)
「こんにちは。お久しぶりです」

太田選手の人生を変えた、サイクルショップの店主・恒次智さんです。

(サイクルショップ フリーダム 恒次智さん)
「最初店に来た時、若干目がキョロキョロしながらいたので『何してんの?』って聞いたら、『今何もしていない』って言って、『えっそうなん?』って」

アルバイト先に向かう通勤用の自転車を購入するために、太田選手が立ち寄ったのが、恒次さんのサイクルショップだったのです。

(サイクルショップ フリーダム 恒次智さん)
「お店でスタッフを募集していて、明日一人面接があって、決まったらその枠埋まるけどって言ったら、『すぐに僕も応募します』ってなって、『やらしてください』ってなって」

(自転車競技 太田海也選手)
「僕からしたら、奇跡みたいな感じで」

自転車にのめり込み、最初に買った自転車は「100万円」

当時、自転車について全く知識がなかった太田選手ですが、サイクルショップのスタッフとして働くうち、自転車の魅力に引き込まれていきます。

(自転車競技 太田海也選手)
「最初ここで、こんな感じで話をして『どの自転車がどうなんですか?』みたいな感じで聞いて」「自転車の知識が無いと、『高いものを買いたい』と思わないですが、そういうことを全部教えてくれて、良いものには良い理由があるんだと」

「ちょっとしたパーツの違いみたいなのが、すごく走りに関わってくるので、そういうことを教えてもらって、『じゃあ絶対いいの買わなきゃいけないや』って思って、一番いいのを買ったのを覚えている」

働いてお金を貯めた太田選手。最初に購入した自転車は、当時100万円を超える、店で一番高価なものでした。その自転車で毎日40キロを走るなど、自らを鍛えてきました。

そんな太田選手に、恒次さんは、自転車競技の大会への出場を勧めたと言います。

(自転車競技 太田海也選手)
「『人と競ったりするのは…』って、ボートで完全燃焼していたので『大会とかもずっと出場したくない』って社長に言っていて、恒次さんに『趣味程度で大会に出てみたら』って言われて」

(サイクルショップ フリーダム 恒次智さん)
「一般の部の最上位みたいな大会に初めて出場して」

(自転車競技 太田海也選手)
「よく分からず、恒次さんに教えてもらいながら大会にでたら優勝出来て、そこから『めっちゃ人と競うのが自転車って面白い』ってどんどん盛り上がっていって、そこからずっと自転車に乗っていました」