新型コロナが5類移行となり、インバウンドのさらなる増加が期待されるなか、瀬戸内市の刀剣博物館で27歳の若者が奮闘しています。「日本刀は世界に誇る美術品」...そう力強く語り海外への発信に意気込むのは、イギリスからやってきた男性です。
「鎌倉中期の刀剣はすごい」日本刀を熱く語るのは英国人

好きな刀の話になると、ノンストップです。

(備前長船刀剣博物館 トゥミ・グレンデル・マーカンさん)
「『吉房(よしふさ)』という鎌倉中期の刀剣はすごいなと思いますね。切っ先が両刃の形、両方が鋭く研がれていますね。例えばここにある展示物は、切っ先を見たら全然違いますよね」

“推しポイント” は「特異な切っ先の形状」です。鎌倉時代、日本刀の形を模索していく中で生まれた刀とみています。

(備前長船刀剣博物館 トゥミ・グレンデル・マーカンさん)
「本当にこのようなものはすごく数が少ない。はっきり、なんでそうだったのか分からない。興奮しますね」
国宝「山鳥毛」はどう英訳する?
イギリス人のトゥミ・グレンデル・マーカンさん(27)です。去年5月から、瀬戸内市の刀剣博物館で「多言語支援員」として働いていて、日本刀の歴史と伝統を伝えるための大切な役割を担っています。

(備前長船刀剣博物館 トゥミ・グレンデル・マーカンさん)
「館内の資料を全部翻訳していこうと思っている」

取り組んでいるのは、日本刀の解説文を英語に翻訳する作業。瀬戸内市が3年前に5億円で購入した国宝の「山鳥毛」は文字通り…。
(備前長船刀剣博物館 トゥミ・グレンデル・マーカンさん)
「山はマウンテン、鳥はバード、毛はフェザー。外国の方は漢字が分からないから、それぞれの漢字を説明している」


難しいのは、日本刀独特の言葉です。例えば「匂(におい)」。刃紋を構成する細かい粒子を指す言葉ですが、英語に翻訳すると…。

(備前長船刀剣博物館 トゥミ・グレンデル・マーカンさん)
「“SCENT” にしましたね。“SMELL” だったら、なんか臭い(くさい)という匂いを指す。でも “SCENT” は香水とかお花の匂いに使われる。美しい香りの霧をイメージしたかったから “SCENT” にしました」