海太郎さんが絵を本格的に始めたきっかけ

しかし、絵を本格的に始めたのは「仕事を失ったことがきっかけ」だったと、母親の和美さんは話します。

2歳半の頃に自閉症と診断された海太郎さん。和美さんはその時、息子の将来への強い不安に襲われました。

(母親・和美さん)「最初は信じられなかったですよね、人の目を見ないとか、言うことを聞かないとか、上に長女がいたので、その成長と比較しながら、辛い思いはどうしても心の中にあって」

願い続けたのは、社会の中で生きていくこと。高校卒業後、一度は就職しましたが聴覚過敏が悪化し8年後に退職。これが転機でした。

(母親・和美さん)「お仕事を辞めて、最初の頃、紙に描き始めた絵です」

引きこもりがちだった我が子に、家でも取り組みやすい絵を描かせてみたのです。

やる気が湧くようにと、モチーフになる写真にタイトルをつけて渡すようにしたところ、海太郎さんはのめり込んでいきました。

4年間で描いた絵は、5000枚以上にのぼります。

(海太郎さん)「楽しいです」「みてもらいたい」