国内最大級の産廃不法投棄事件のあった香川県の豊島では、3月10日に不法投棄現場を元の状態に近づける「整地工事」が終わりました。整地を終えた現場を、きょう(30日)香川県の池田知事が視察しました。

90万トンを超える産業廃棄物と汚染土壌が撤去され、3月10日に整地が完了した香川県豊島の産廃不法投棄現場です。けさ現場には、長年住民の中心となってこの問題に取り組んできた安岐正三さんの姿がありました。

(廃棄物対策豊島住民会議 安岐正三事務局長)「100万トン近いものが、うずたかくあったんですからね。ここまで整地した、というのは『よくぞここまで』という感じです。2度とやったらいかん、というふうなことを強く感じますね」

午前10時前、現場に香川県の池田知事が到着しました。知事は職員の説明を受けながら約1時間、8ヘクタールの現場を見てまわりました。

「10メートルの高さまで廃棄物がここに積まれておった」

豊島では、業者が摘発される1990年まで、産廃の不法投棄が続きました。住民は「県の責任の明確化」と「産廃撤去」のため、国に公害調停を申し立て、2000年に調停が成立します。90万トンを超える産廃と汚染土壌を撤去するなどし、去年10月から原状回復のための整地が行われてきました。

視察後、池田知事は現場でオリーブの植樹を行ない、「ともに一歩前へ」と自らが揮毫した石碑を除幕。住民に豊島事業への思いを述べました。

(池田豊人香川県知事)「豊島事業を、引き続きみなさんの協力を得ながら、香川県が主体になって最後まで取り組んでいく、そういう思いを強く致しました」

(廃棄物対策豊島住民会議 安岐正三事務局長)「将来に継承していくべき姿にもっていくにはどうしたらいいのか、専門家の方々や県の方々と協議しながら、ともにやっていきたいと思っています」

ひとつの区切りを迎えた豊島の産廃撤去事業ですが、地下水が環境基準を満たすまでは香川県の管理が続きます。住民が本当の意味での豊かな島を取り戻すには、さらに時間がかかることになります。