おととし(2021年)から1年4か月をかけて行われていた香川県琴平町金刀比羅宮にある伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう)の百花図(ひゃっかのず)の修復が終わりました。きょう(28日)、無事、奥書院への取り付けが行われました。

修復を終え、輝きを取り戻した百花図です。百花図は、江戸中期の画家・伊藤若冲が1764年に描いた金刀比羅宮奥書院の障壁画です。

おととし11月から修復が行われていました。修復費用の一部をクラウドファンディングで募ったことも話題になりましたが、募集の1500万円を大幅に上回る約2500万円が集まりました。

(報告 茅原淳)「満開の桜の下、修復が終わった伊藤若冲 百花図が、こんぴらさんの階段を登ってきます」

奥書院に運ばれた百花図は、長押上小壁(なげしうえこかべ)に1面取り付けられたあと襖絵(ふすまえ)が4面入れられました。

修復作業では絵の具の剥落を止めて和紙を裏打ちして補強する処理が行われています。描かれてから250年以上経つ絵の修復には苦労も多かったといいます。

(岡墨光堂 岡岩太郎 社長)「ものすごくもろくなっているところに密着している紙をすべて剥がすわけですから、無理に引っ張ると絵を壊してしまいますので、それに時間がどうしてもかかりますので、そこを慎重に進めるというところがひとつ大きかったと思います。修理の前にお預かりに来た時のこころもとない感じというのは無くなって、安定している、堂々とした感じになってますので良かったかなと」

総数201点に及ぶ草花が描かれている百花図。場所によってはほとんど色が落ちていたところもありましたが、修復によって色が戻ってきました。白・緑・赤など色の発色もよくなり、若冲独特の緻密な描写が見やすくなっています。

(金刀比羅宮 請川誠之 禰宜)「色あいであるとか色彩であるとか、そういった部分を見ても、正直言って感無量でございます。百花図をはじめ様々な芸術品を展示いたしておりますので、ひとりでも多くの方に御拝観いただければと思っております」

伊藤若冲の百花図は金刀比羅宮で来月(4月)8日から特別公開されることになっています。