環境活動を行っているタレントの井上咲楽さんが、香川県の豊島(てしま)を訪れました。産業廃棄物の不法投棄による傷跡が今なお癒えない島を元の姿に戻すため、植樹を行いました。

(井上 咲楽さん)「よいしょ、よいしょ、重いね」

井上咲楽さんが手にしたのは、ツツジの苗です。豊島に緑を取り戻そうと、島の小中学生と行った植樹です。産業廃棄物の不法投棄により荒らされてしまった豊島。ファーストリテイリングと共に環境活動に取り組んでいる井上さんは、今回初めて島への不法投棄の問題を目の当たりにしました。

(井上 咲楽さん)「衝撃的でしたね。ここに資料館の一部ですけど、ゴミの混じった土...土というかゴミですよね。あれを見たんですけど、これが何十トンもあったんだということが想像できなくて」
1980年代前半に始まった、豊かな島への不法投棄。かつては産業廃棄物を積んだトラックが島の人を押しのけ我が物顔で走り、豊島はごみの島として全国に知られるようになっていました。
「もう抜けるぞ 、最後の遮水壁が」
島の住民らの戦いで公害調停に勝利してから20年余り。産廃処理事業により処分地と海を隔てていた遮水壁も取り除かれ、整地工事もほぼ終わりましたが、島は昔の姿を取り戻せたわけではありません。
(廃棄物対策豊島住民会議 安岐正三事務局長)「昔は広い砂浜があって、山はツツジが咲き乱れて本当にきれいなところですよ」

かつて島で花見といえば、山でツツジを見ることだったといいます。不法投棄現場の整地工事は3月10日に終わる予定ですが、今年も島で花見をすることはできそうにありません。

(豊島の中学生)「見たいです、ツツジ。このあたりで咲いているツツジを見るっていうのが一つの夢でもあるし」
島の未来を担う子どもたちと植樹をした井上さんは、島の現状をSNSなどで発信していくことにしています。ただ、きょう(22日)植えたツツジが育つには何年もかかり、島が元の姿を取り戻すのはまだ先です。


(井上咲楽さん)「ここからまた長い年月がかかると思うんですけど、でもゆっくりゆっくりツツジがきれいに咲いて、そんな姿を島の皆さんも外から来た人も、『ツツジがきれいな島だよね』って言える未来が来たらいいなと」

今はまだ荒れた地が残る豊島も、いずれツツジが咲き誇る元の姿を取り戻せる。多くの人が願い続ける活動で島の未来が生まれます。