震える声で『もうだめかもしれん』

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懸命な処置の終わりを告げたのは、看護師として働く次女でした。彼女が今も胸に抱える、消えることのない苦悩を明かしました。

(堤 敏さん)
「病院へ向かう車内で、家内が娘に携帯電話で状況を説明していました。震える声で

『もうだめかもしれん』

そう聞こえます」

「けれども、私の中では『息子が死んでしまう』というような思いは、本当にこの時点でもまったくありませんでした。病院に搬送され、医師による懸命な処置を受けたんですけども、息子が目を覚ますことはありませんでした」

「病院には、私たち夫婦のあとに長女と長男が一緒に駆けつけて、最後に当時仕事の都合で1人暮らしをしていた次女の順で到着します」

「家族で控室で待っていると、処置室に呼ばれて、医師から『脳波が出てないんです。脳波反応ないんですよ。この時点で心臓マッサージをやめていいでしょうか』、そう聞かれました」

「私は医師に向かって

『もう、何言ってるん。続けてくださいよ。なんでですの。もう、そんなことだから』

言葉にもなっていなかったと思います」

「そのとき、次女が、息子の手を握っている私の手を押さえて、声を詰まらせながら、

『お父さん、将太もう休ませてあげて、もう寝かせてあげて。頑張ったんやから。この子、すごい頑張ったんやから』

泣きながらそう言って、医師に頭を下げました」

「次女は看護師で、自分が心臓マッサージを止めた。ひょっとしたら奇跡が起きて、将太が目を覚ましたかもしれないのに、それを自分が止めてしまったんじゃないのか、将太の未来を自分が奪ったんじゃないのか...今でもそう思っていると、そう言います」