将太さんは女子生徒に「逃げろ」と叫ぶ
家族に愛され、優しい青年に育っていた将太さんを襲った突然の悲劇。敏さんは、目を背けたくなるような事件当夜の凄惨な状況と、将太さんが最期にとった行動について明かします。
(堤 敏さん)
「その日、息子は当時、仲の良かった近所に住む女子生徒と2人で話しているところ、見ず知らずの少年に突然襲われて、頭や肩、胸、背中、もう上半身複数か所を刺されて、殺されてしまいました」
「死因は失血死。首の傷は頸静脈を傷つけて、肩や胸の傷は神経や筋肉を切断して、そのナイフの刃先は肺にまで達していました」
「凶器は、刃の長さ7.9センチの折りたたみ式の果物ナイフ。刺し傷のほとんどがナイフの刃よりも深く、大きいものでした」
「刃の長さを大きく上回る、深さ10センチを超えるような傷まであって、司法解剖を行った医師の所見によると、刺された傷のひとつひとつ、どれを取っても致命傷になりうるようなものだ、ということでした」
(堤 敏さん)
「現場の範囲は広くて、最初に襲われた場所から歩行距離にして10メートル以上、それぐらい離れたところまで、大量の血痕が残っていたと聞いています。息子は襲われた瞬間、一緒にいた女子生徒に『逃げろー』と叫んで、突き飛ばしました」
将太さんが事件に遭った知らせを聞いた敏さんは、現場へと駆け付けます。そこには変わり果てた息子の姿がありました。赤色灯に照らされた交差点での、あまりにも残酷な対面。
それは、堤さん家族の温かい日常が、永遠に失われた瞬間でもありました。現場から逃走した犯人の少年が逮捕されるまで、実に11年。敏さんは、先の見えない絶望の中で過ごした歳月について、言葉を継ぎます。
講演会は、とっとり被害者支援センターが7月30日に開催したものです。













