英語では「love dragonfly」 それはどうして?

(東洋産業 大野竜徳さん)
「日本には約200種のトンボが知られていますが、シオカラトンボと似た青色の仲間もいます。

一回り大きく濃い青をまとうオオシオカラトンボ、春先に現れるシオヤトンボ、水際に潜むコフキトンボ、翅の付け根が黄色で腹の太いハラビロトンボなど。

これらの見た目によく似た仲間も近くにいると水辺の飛行場で空中戦を繰り広げます。その様子は、まるでサッカー選手が激しいポゼッション争いをしているよう。オスたちは縄張りを確保し、メスを迎えて恋のドラマを展開するのです。

うまくメスを迎えることができたオスは腹の先でメスの首をしっかりとつかみ、メスはオスの胸に自分の腹の先を曲げてつける独特の姿勢をとります。交尾は飛びながら行うこともあり、世界的に見ても珍しい空飛ぶカップルです。

この姿勢は角度によってハート型に見えることから、英語では『love dragonfly』と呼ばれることもあります。

交尾後、メスは水面を叩くように卵を産み落とし、これを打水産卵といいます。オスはその間、ボディガードのように飛び回り、メスを守ります。

右へ左へと落ち着かない姿は、まるでわが子が産まれるのを分娩室の前でそわそわ待つ新米パパのようです」