鏡野町に残っていたないはずの史料 馬を徴発する「青紙」とは
(池田誠二さん(83))
「馬を戦争に出したなんか聞いたことがない。覚えがない」

旧富村地区で聞き込みをしたところ、誠二さんを含め、誰一人、村の馬が軍馬として連れ出されたという記憶のある人はいませんでした。しかし…
今回、旧富村のある鏡野町の博物館で、驚きの史料が見つかりました。
(鏡野町教育委員会 日下隆春さん)
「馬を徴発する、青紙【画像⑩】といわれるものです。人間の場合は召集令状で『召集』というかたちになるんですけど、馬の場合は『徴発』というかたちで、軍からの命令によって『何頭差し出す』というかたちで徴発していた」

馬匹徴発告知書。戦地で使う軍馬の補充用に民間の馬を取り立てるもので、全国各地の役場で発行されていました。今回存在が明らかになった青紙には、「富村役場」の文字。誠二さんの住む富村からも馬が徴発されていたという事実を示すものです。
(鏡野町教育委員会 日下隆春さん)
「『期日に馬を一頭、富の尋常小学校の校庭に持って来なさい』ということが書いてあります」
当時、この告知書を受け取っていたのは池田辰雄さん。誠二さんの近所に住む親族の男性でした。
(平松咲季記者)
「村の中から馬が連れていかれていたんです」
(池田誠二さん(83))
「それはかわいそうやな。つらいやろ。馬は家族と一緒やから」

ではなぜ、同じ村にいながら誰も知らなかったのか。その理由は、当時の軍の方針にあったと日下さんは考えています。