ユスリカは「身近な虫」なんです 血は吸う?吸わない?
ーユスリカは、どんな虫なのでしょうか。
(東洋産業 大野竜徳さん)
「ユスリカはどんな虫かというと、『カ』という名前が示す通り、蚊に近い仲間です。見た目は似ていますが、血を吸うことはありません」
「水中に生まれた卵から幼虫が孵化(ふか)してきます」
「幼虫は、水の底の泥や細かなゴミの中に潜んでいて、自分の巣を作ったりもします。エサは水中を漂ったり、沈んだりしている細かな有機物」
「泥の底でひっそり生活しているため、酸素が少ないところも多いため、私たちと同じような、ヘモグロビンのようなものを含む赤い血を持つものもいます」

(大野さん)
「幼虫は成長すると蛹になって水面に浮きあがり、しばらく経つと成虫へと羽化します。羽化した成虫はパートナーと出会うためだけに残りの命をかけ、無事ゴールインするとメスは産卵して一生を終えます」
「珍しい虫ではなく、例えばお魚を飼育されている方であれば『赤虫』という名前のエサ、これは赤い色をしたユスリカの幼虫ですね。成虫は夜に明かりによってくる虫の中でもかなりよく目にする仲間です」
なぜ、あんなに密集するの?
ーなぜ、あんなに密集するのでしょうか。まさに「蚊の柱」のようですよね。
(東洋産業 大野竜徳さん)
「蚊柱は、ユスリカのオスが集まってメスを呼び込む婚活パーティーの会場です。ユスリカの成虫は口や消化器官をもたず、私たちの血を吸うことはありません」
「短いと一日、長くても数日程度の寿命しかなく、その間にパートナーを見つけて子孫を残さなくてはなりません。ふらふら一匹で飛んでパートナーを探している時間も惜しいことでしょう」
「そこでオスはオスどうし、多いと1000匹近くがかたまって飛び、そこに誘われてくるメスを待っているのです」
「これが蚊柱なのですが、この蚊柱はユスリカの人生(虫生?)をかけた蚊柱という婚活会場で、オスはよりよい場所を求めて飛び続けていて、常に一番いい場所を取り合っています」
「たくさんのユスリカのオスばかりが集まった状態で場所の取り合いをしているので、近づくと蚊のようなプーンという音のささやかな合唱が聞こえます」

「そこにメスが1匹でも誘われてきたらオスたちは次々に口説きにかかるため、蚊柱が騒がしくなります。1匹のメスに何十、何百というオスがプロポーズをしようと色めき立ちます」
「ライバルを押しのけ、出し抜いてプロポーズをし、さらにメスに選んでもらうことができたオスは幸運ですね。その後、メスは種によりますが、数百~数千の卵を産卵して一生を終えます。オスも蚊柱から力尽きて、あるいはその後に寿命で数日の間に一生を終えます」