国内最大級の産廃不法投棄事件のあった、香川県土庄町の豊島(てしま)で、不法投棄現場を原状(事件前の元の状態)に近付ける整地工事が始まりました。


住民と県の公害調停成立から20年余り。県の処理事業は最終局面を迎えました。


(茅原淳記者)
「国内最大級の産廃不法投棄事件があった、香川県の豊島です。20年以上かかっている撤去事業は、ようやく整地が始まりました」


長年この問題に住民の中心となって取り組んできた安岐正三さんも、その様子を見守りました。


(廃棄物対策豊島住民会議 安岐正三事務局長)
「1978年に許可して1990年に取り消しした12年の間に起こったことが、20年たってですよ。22年もたってまだこの状態だということは知るべきだと思う。考えるべきだと思う、みんなね」


香川県豊島では、1990年に業者が摘発されるまで産廃が不法に投棄され続けました。


(真鍋武紀香川県知事⦅当時⦆)
「心からお詫びをいたします」


2000年に国の公害調停が成立し、90万トンを超える産廃と汚染土壌が撤去されました。


そして地下水の汚染も、海に流れ出ても許容される基準に達したことから、今年3月までに、現場と海を隔てていた遮水壁が取り除かれました。


それを受け、香川県と豊島住民会議は原状復帰、つまり処分場に廃棄物が持ち込まれる前の状態に戻すことで合意しました。


きょう(21日)からの作業で、排水溝や調査のため掘られた井戸の多くを埋め戻します。


(香川県資源化・処理事業推進室 富田康志室長)
「ひとつひとつ豊島事業を進めてきた中で、国の財政支援が今年度末までとなっておりますので、そちらに向けて関連施設の撤去整地工事を期限までに終わらすということを全力で取り組んで行きたいと」


整地は来年(2023年)3月までの予定です。


しかし現場の地下水は環境基準を満たしていないことから、3月以降も県による管理が続けられます。住民側への引き渡しはまだ先の話になります。


(廃棄物対策豊島住民会議 安岐正三事務局長)
「環境基準になって、それが安定するリバウンドがないであろうというふうな状態になるまでには10年以上かかると、我々はこういうふうな努力をして次の世代に託したんだと。瀬戸内海国立公園にふさわしい姿を取り戻すように、後世の人が我々の後を継いでほしいと思ってます」


摘発から30年以上という長い時間を経て、豊島の産廃撤去事業は大きな区切りが見えてきました。しかし豊かな島を取り戻すためには、なおも長い年月がかかることになりそうです。