回復への道があることを知ってほしい

医療専門家はギャンブル依存症は「誰でもなりうる脳の病気」だと指摘します。

(岡山県精神科医療センター 橋本望医師)
「ギャンブルで大勝ちした時に高揚感を感じるんですけど、その時にドーパミンという物質が放出されます。強いドーパミンがいっぱい出ると、生き物にとって大事なものと認識して、少しずつ価値観が変わってくる」

「それが続けば『ギャンブルに関連する情報』を見ただけで、実は脳が反応します。勝ってドーパミンが出て嬉しかったはずのものが、これからギャンブルをするぞと連想しただけで、もう脳が勝った時の状態になっているんですね」

「ですので、止めるということ、そういう発想にもならないです。脳の病気という考え方が、世界的に標準的な考え方になっています。強調したいのは、どんな方でもなり得るものだということです」

競馬やパチンコなどにのめり込み、多額の借金をしてもやめられず、負けを再びギャンブルで取り返そうとするのが、ギャンブル依存症の典型的なパターンです。

最後には掛け金を失ってしまいますが、そのような行為を人に隠したり、貯金を使い果たしてしまったりします。借金が膨らんで、盗みや詐欺行為に手を染めてしまうこケースも報告されています。

(中島俊明弁護士)
「『こういう病気があるんだ』『だれでもなりうる病なんだ』ということを、社会全体でまず認識してもらう。認識が広まれば、『自分はそうかもしれない』と思う可能性が出てくる。『未然に防ぐ』という意味では、社会全体で底上げをしていくというのが究極的には一番早道なのかなと私は思います」

「家族とかに言われてもなかなか認めにくいのが『ギャンブル依存症』の特徴でもありまして、でも自分自身でネットのニュースとかいろんなものを見て、自分で気付くということには比較的抵抗がないように思うんですね」

「そういうことを考えると、色々な事件が起こることをきっかけにこういう病気があるんだということを認識していただきたい。誰でもなる病気です。そのうえでそれで終わりではなくてしっかり回復への道があるんだそこも知ってほしいです。重大な結果になる前に…」