特集は貧困などを理由に家事や家族の世話をする子どもたち、いわゆるヤングケアラーです。不登校になったり、希望する進学が叶わなかったりと様々な弊害があるため、政府も、対応を強化する方針を打ち出しています。しかし、岡山県内の元当事者や専門家を取材すると、依然として不十分な支援の実態が見えてきました。

「親が働かないんでお金を出してあげたり」「おなかすいた時も寝たら大丈夫か」

(元ヤングケアラーのAさん)
「親が働かないんで、お金を出してあげたりとか。17歳の時には学校を辞めて、本格的に(コンビニの)バイトに入りだした。妹も(小学生で)小さかったんで、弟も中学生だったんで、僕がちゃんとしないとなと思っていた。収入があまりなかったので、おかずですかね。肉団子だけとかで、ご飯足りないなとか。おなかすいた時も、寝たら大丈夫かとか、そんな感じで過ごしていましたね」

津山市に暮らす、20歳の男性、Aさんです。3年前まで5人の家族を一人で養っていました。

きっかけとなったのは高校1年生の時。トラックの運転手をしていた父親が突然会社をやめ、酒に溺れるようになりました。そのような中、母親も精神的に病み、引きこもりの状態に。同じく精神的に問題を抱えていた姉、さらに幼い弟と妹を食べさせるため、Aさんは学校にも行かず、コンビ二のバイトに明け暮れるようになってしまったのです。1年後には高校を中退。夢も諦めました。

(元ヤングケアラーのAさん)
「子どもが好きなので、学校の先生か保育士とかをやってみたいなと思っていた。そういう家庭になってから、勉強する時間も減ったし、諦めましたね。その時は『辛い』はなかったですね。がんばらないとだけ」