総額1億2000万円以上にのぼる預託商法でのトラブルを巡り、弁護団が結成されました。
問題となっているのは、東京・渋谷区の訪問販売業者「WILL(ウィル)」などが2016年頃から行ってきた預託商法(*)です。

WILLは海外のテレビ番組が見られるアプリなどが入ったとされるUSBメモリーを約60万円で販売し、それをWILLに貸せば、レンタル料として3年間で72万円を支払うと説明し契約していました。

しかし、実際にはレンタル料の支払いが途絶えたり、換金できない暗号資産で支払われたりしていたということです。
弁護団によりますと、相談を寄せた熊本県内の9人が支払った総額は1億2912万円に上るということです。

WILLには消費者庁から業務停止命令が出されましたが、事業を引き継いだ会社「VISION(ビジョン)」による被害の相談もあることから、弁護団は3月17日に被害者説明会を開き、損害賠償を求める訴訟も検討するとしています。
*販売預託商法…商品を販売すると同時にそれを預かり、第三者に貸し出すなどして、運用して得られた利益を、後で購入者に還元すると告げて高額な商品を消費者に購入させる商法。預託法により「販売預託」は原則禁止されている。(消費者庁ホームページから引用)
「預託商法」をわかりやすく解説
では改めて「預託商法」とは、どういうものなのでしょうか。

まず事業者が商品を販売します。商品は今回でいうと「USBメモリ」、ほかには例えば「太陽光パネル」などがあります。
そして買った消費者はその代金を支払います。それとともに商品を受け取るのではなく、事業者が商品を預かります。
預かった商品を第三者に貸し出したり電気を売ったりして利益を出すことによって、利益の一部を消費者(預託者)に還元するとうたい、契約させる。
これが預託商法と呼ばれる取引です。
破綻するリスクの高い取引

このビジネスモデル、当初は利益を出す可能性もありますが、預託者を集め続けるとそれにあわせて利益も増やし続けなければいけません。
消費者庁は「実際には運用による利益がほとんどない可能性があるため、破綻するリスクが高い」としています。
預託商法を巡っては、過去にも多額の被害が出た事件もあったことから、国は2022年法律を改正し、原則禁止としました。ただし、国の確認を受ければ可能だともしています。
では現時点で何社が確認を受けているかというと、実は改正以来「ゼロ」なんです。
消費者庁は法的には可能だが「確認を受けて事業を継続することは、現実的には難しい」としていて、注意を呼び掛けてます。