史上最年少3冠王の村上宗隆選手は去年、蒲島知事に「熊本の子どもたちのため、新しい球場を作ってほしい」と要望しました。

昭和生まれの方なら、近所の空き地や公園での草野球、自宅の壁にボールを当てて遊んだ覚えがあるのではないでしょうか。それがきっかけで本格的に野球を始めた人も多いと思います。

しかし、時代の流れか、空き地は減少し、公園でのボール遊びは『禁止』というところが増えてきました。

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では、日本中が盛り上がりましたが、逆に日本での野球人口は減っていると聞きます。

ほんとうに野球人口は減っているのか?また、それは「公園でのボール遊び禁止」が影響しているのか取材しました。

記者「こちらの看板には危険な遊びはやめましょうという注意書きとともに野球のイラストが描かれています。」

自由に利用できる公園で野球はできないのか?熊本市の担当者に聞きました。

熊本市 みどり公園課 弓削秀和 課長「基本公園の中でボール遊びを禁止している訳ではない。周りに迷惑にならないような遊び方をしてほしい」

周囲に配慮すればボール遊びはしてもいいということですが・・・

弓削 課長「野球はどうしても広い場所を使ってしまうので、硬いボールを使うような本格的な野球をするとなると、ご遠慮いただいている」

現在、スペースの問題と周囲への危険性から、熊本市が野球ができると判断しているのは、熊本市内に1113か所ある公園のうち『15か所』しかありません。

熊本市中心部の公園で自主練習中の野球少年、小学6年生の北野蒼太くんです。

この公園で父親と日々、素振りなどをしていますが、『ボールを使った練習』はできません。

蒼太くんの父 誠さん「自分たちが育ったころは空き地や庭で壁あてとか素振りができていたけど、街なかだとなかなか野球に適した場所がなくて。」

北野蒼太くん「(公園に)ネットがあったら打撃練習もやりたい」

スポーツ庁の中体連の競技別人数の推計では、2009年度、30万人以上いた野球人口が2018年度には16万人あまりに減少。2028年度には10万人を切るとされています。

熊本県軟式野球連盟は、公園で野球ができないことも減少の一因とみています。

野球人口の減少は明確でしたが、公園は周囲に配慮して使用すれば…という結論でした。

しかし熊本は「打撃の神様」川上哲治さんをはじめ、秋山幸二さん、平成唯一の三冠王 松中信彦さんをはじめ、現役選手でも、史上最年少三冠王の村上宗隆選手、岩貞祐太選手、小田裕也選手、アドゥワ誠選手、大竹耕太郎選手、児玉亮涼選手、川野涼多選手…など数えればきりがないほどの選手を多く輩出しています。

「野球王国 熊本」の火を消さないためには、幼い子供たちが「ボール遊び」をもっと自由にできる環境作りを大人が作っていく必要があるのかもしれません。