病院以外に身元を明かさず出産する「内密出産制度」を導入している熊本市の病院が会見を開き、制度を利用した女性が4月、出産したと発表しました。

独自の「内密出産」を導入している熊本市の慈恵(じけい)病院は匿名を望む成人女性が、先月出産していたことを明らかにしました。


「4月に出産されました。4月に県外から来た女性です」(慈恵病院 蓮田 健 院長)


病院によりますと、女性は県外在住で「だれにも頼れない」と病院に相談し出産。身元につながる情報は病院の職員のみに伝えているということです。

この制度は孤立出産を防ぐため、病院が2019年に独自に導入したもので、2021年12月にはこの制度の下で初めて10代の女性が出産していて、これで2例目になります。


「この女性の方はとにかく命を守りたい、生みたいという気持ちが強かったです」(慈恵病院 新生児相談室 蓮田 真琴 室長)


女性は、特別養子縁組で他の人に赤ちゃんを託したい意向もある一方で、自分で育てたい気持ちもあり、病院は確認を続けることにしています。

会見で蓮田(はすだ)院長は「内密出産」が法制化されていない現状を踏まえ次のように訴えました。

「匿名だから安心して病院に来てくれたわけで、それが叶わないとなると母子の行き場がなくなります」(蓮田 院長)


慈恵病院が内密出産を導入して2年病院には現在も数件の相談が寄せられています。