医師からの悲痛な叫びです。RKK報道部に次のようなメールが届きました。

「社会のセーフティネットとしての医療(特に救急)が破綻している。熊本市内の救急隊から他の市の病院へ受け入れ要請が起きている」

新型コロナ感染拡大で県内の医療現場はどうなっているのか、実態を取材しました。

1月17日、熊本県内では新たに3014人の感染が報告され、1月に発表された新規感染者の累計は5万人を超えました。

感染拡大が続くこの状況に、熊本市消防局での「救急搬送困難事案」の件数は2022年11月から増加傾向となっていて、1月2日から8日までの1週間で140件あまり。このうちコロナの疑いは約80件となっています。

救急の現場は過酷な状況に置かれています。熊本市消防局では1月4日、所有する救急車27台のうち8割を超える22台が同時に出動する時間帯があったといいます。

取材をした1月17日も約6割が出動中。その3割ほどはコロナ感染の疑いがあるものでした。

熊本市消防局 救急課 丸山 修 副課長「年末年始、特に年明けに、搬送困難件数が非常に多かったということは言えると思います」

感染の急拡大にともない、救急患者の受け入れ先がすぐに決まらない 搬送が困難な事例が増え、救急医療への危機感が再び高まっています。

丸山副課長「第7波もそうでしたけれども、それを超えるくらいの管轄外への搬送があるのが現状です」

熊本市消防局では、感染者が急増した12月から、熊本市内の病院に病床に空きがないことや医療従事者への感染拡大を理由に受け入れを断られ、熊本市以外の病院へ患者を運ばざるを得ない事例が増えています。

丸山副課長「年が明けてからの行動制限がないということでの、過去に類を見ないぐらいの救急出動の増加にともなって、熊本市内の医療機関の受け入れ状況が厳しくなり熊本市外へ搬送の協力をお願いしている」

救急隊からの要請を受け 広域からコロナ患者を受け入れているのが、56床の専用病床を持つ玉名市の「県北病院」です。

くまもと県北病院 田宮 貞宏 院長「熊本市に限らず、有明医療圏以外からも
受け入れはそれなりにあります。やはり12月ぐらいから増えてきたと思います」

救急外来には、コロナ対応の診療スペースを2つ設けていますが、第8波に入り常に稼働している状況だといいます。なぜなのか…?

原因の1つに上げられたのが「コロナ陽性の疑い」です。

田宮院長「最初から(コロナだと)分かっていないケースがかなり増えているので、医療機関はそういう対応も予想しながらやらないといけないので、なかなか難しい状況です」

さらに、次のような事も起きているといいます。骨折した患者を救急搬送する際に発熱の症状がみられたことから、熊本市内の20以上の病院で受け入れを拒まれ、約30キロ離れたこちらの病院に運ばれました。

このような状況にも田宮病院長は理解を示します。

田宮院長「万が一コロナ感染症だったら受け入れが難しい。医療機関によってはお断りしないと逆に患者さんが危ないので、致し方なく断られていることもあると思います」

第8波の収束が見通せない中 ウィズコロナをどう生きるか、救急のひっ迫が改善するには時間がかかりそうです。