解説 棄却の理由

原告7人は、メチル水銀に汚染された魚を幼いころから食べて、手足の感覚障害など水俣病の症状があるため、水俣病患者と認めてほしいと熊本県や鹿児島県に求めていました。
ただ、2022年の1審・熊本地裁の判決では、一部の原告にメチル水銀の曝露(さらされたこと)は認められるが「症状が他の疾患による可能性は否定できない」として原告の訴えを棄却しました。
その判決を不服として原告が控訴し、迎えたのが23日の高裁判決です。

高裁判決も1審判決と同じで、他の疾患で感覚障害が起きている可能性があれば、水俣病とは認められないという判断で、1審判決を支持する形になりました。
そしてもう一つ、水俣病の認定基準についての判断がありました。

国は、水俣病と認定するにあたり、感覚障害や視野が狭まるなど、複数の症状があることを基準としています。
一方で原告は、症状が「感覚障害だけ」でもメチル水銀に汚染された魚を食べた事実があれば、水俣病の可能性が高いと言えるのではないかと訴えていました。

1審は、複数の症状の組み合わせを水俣病とした、いわゆる「52年判断基準」に則り、感覚障害だけだと水俣病である「確率が低い」と判断していました。
原告は控訴審で水俣病の被害が確認されている地域では、他の地域に比べ「感覚障害を訴える人の割合が高い」という疫学的な調査結果を示し、主張を立証しようとしました。
しかし高裁は、調査結果そのものに「疑問がある」として主張を認めませんでした。
原告の弁護団からは、3月、新潟地裁が原告全員を水俣病と認める判決を言い渡したことを引き合いに出し、「同じような証拠・主張を展開しているのに」と困惑する声も聞かれました。









