今、あらゆる物の価格が上昇を始めています。その理由のひとつが石油価格。
この現状を自ら打開しようと、熊本で新たな燃料の開発が行われています。

湯船から立ち上る湯気。この湯気が恋しくなる季節です。


銭湯の常連客
「最高ですね!」


熊本市の銭湯も連日賑わいを見せる中、経営者を苦しめているのが燃料の高騰です。

大福湯 野村 雄亮 代表
「(新型コロナの影響で)4割~5割に近いところまでお客さんの数も下がってしまって、そこにきてこの原油高・物価高が輪をかけて、二重苦三重苦の状況ができてしまっている」


こちらの銭湯では、お湯を沸かす燃料として主に自動車のエンジンオイルなど工業廃油を使用しています。しかし、最近はエンジン性能の向上などで廃油が手に入りづらくなっているといいます。

 


さらに…

野村さん
​「こういうカスが出てしまうんですよね、廃油だと」


工業廃油は、鉄粉などが釜の底に溜まるため、定期的に取り除かないと機械が痛んでしまいます。


その悩みを解決したのがこの燃料。残渣油(ざんさゆ)です。


使用済みの天ぷら油などからバイオディーゼル燃料を作る時にでる副産物、つまりは「残りカス」なんです。


しかし、今まではほとんど利用されていませんでした。なぜなのか?

熊本いいくに県民発電所 星子 桜文 顧問
「利用ができると分かっていながらも(製造)量が少ないというのと、ニーズがないというところで、色んなものとミックスをしてただ燃やしていただけなんですよね」


成分的には 重油とほぼ変わらないものの燃料として広く認められておらず、機械などに使用し故障した場合はメーカー保証の対象にはなりません。

しかし、半年前に初めてこの燃料を見た野村さんは、可能性を感じ実験的に使用しています。

野村さん
「私たちがずっと使っている(工業用)廃油と比べると、すごく使いやすいというか燃えやすい。残渣油ですけど、これお風呂屋さんにとっては命なんですよね」


また、住宅街にある銭湯をこれからも維持し続けるためには、環境に対する配慮が不可欠だと話します。

野村さん
「環境であったりそういった部分においては、銭湯もこの先考えていかなければ行けない部分である」