熊本の最新トピックや話題を取り上げる「センニュウ」今回は、熊本に初導入された、話題の「最先端医療機器」です。

熊本労災病院 消火器外科 消火器内視鏡外科 井上光弘部長「がんに対する治療成績が高い」

日本が誇る、初の国産手術支援ロボット、その名も「hinotori」その最前線にセンニュウします。

八代市の熊本労災病院です。27もの幅広い診療科を備え、熊本県南地域の約50万人にとって医療の中核を担う総合病院です。

ここで今年4月、「最先端の医療機器」が熊本で初めて稼働を始めました。

それが・・・

熊本労災病院 井上光弘部長「手術支援ロボット、ヒノトリです」

日本初の国産手術支援ロボット「ヒノトリ」は今、医学界で注目されているといいます。今回は許可を得て、実際の手術現場を取材しました。

ヒノトリは、主に、がんの手術で力を発揮するロボットです。その強みとは何なのでしょうか。

熊本労災病院 井上光弘部長「より微細な視野と、精密な手術操作」

ヒノトリには、人の腕と ほぼ同じ太さのロボットアームが4本ついていて、メスや3Dカメラなどの医療器具を取り付けて使用します。

これを操作するのが、専用の操縦席「サージョンコクピット」です。

モニターは高精細で立体的な、3Dハイビジョン映像。

井上光弘部長「飛躍的にもう視野が違いますね」

医師の動きは、コントローラーをとおして、ロボットのアームが正確に再現します。さらに、強力な手振れ補正が加わり、驚くほど繊細な操作が可能になり、その精度は、なんと「米粒にも簡単に文字を書けるほど」だといいます。

こうした技術が患者にもたらす、メリットはどこにあるのでしょうか?

井上光弘部長「がんに対する治療成績が、より高い。より精密な手術ができるという事は、その結果、がんの取り残しも少なくなり、手術後、早期に回復するという成績の向上にはつながるんじゃないかなと。」

ヒノトリによる手術は、これまでのようにおなかを大きく切る「開腹手術」とは違い、直径1cm程の穴から行われます。そのため、開腹手術と比べ、体へのダメージが格段に小さくなります。また、精密な動きによって、血管や組織を傷つけにくく、出血を大幅に抑える事ができるのです。

井上光弘部長「今日の手術とかほとんど、10ccも出血はしていないと思う」

結果的に、手術後の回復が早く、入院期間の短縮にもつながります。

井上光弘部長「もう本当に、1日2日でケロっとされてますし、もう1週間くらいで『帰っていいですか?』って感じになってくる」

手術支援ロボットといえば、1999年に登場した、アメリカ製の「ダヴィンチ」シリーズが現在の主流です。しかし、導入や維持にかかるコストが莫大なため、多くの手術をこなす都市部の大病院でないと採算が合わないという課題を抱えていました。

それに対し、ヒノトリは・・・

井上光弘部長「年間でいうと、維持費は半分くらいで済む。」

最先端の機能はそのままに、運用コストを大幅削減することで、これまで導入をあきらめていた地方の病院でも・・・

井上光弘部長「大きな病院や、大学病院と比較しても遜色ない手術を、将来的にやっていける」

手術支援ロボットがもたらすのは、より精密な手術によるがん治療の向上と、患者の体への負担軽減だといいます。そして日本のヒノトリが、「どこに住んでいても、最先端の医療を受けられる」、新たな時代を切り開いていきます。

井上光弘部長「将来的には、より、安全、ストレス軽減した手術というのが受けれるような時代が、今後はやっぱりさらに進んでいくと思います。」