高まる需要とハードル「事前に選別しないと…」

吉田係長「『夢の恵み』が消費者から好調なので、できるだけ『夢の恵み』を出せるようにしています」

河内の最高ランクのミカン「夢の恵み」は、ランクが劣るミカンの倍ほどの価格で取引されます。

最高ランクの割合を増やすことが収入アップにつながりますが、AI装置で1日に選果できるのは約250トンに限られているため、生産者たちは収穫したミカンを自分たちで事前に選別しなければなりません。

JA熊本市柑橘部会 藤森稔 部会長「(事前に選別しないと)『夢の恵み』も少なくなるし、注文に対応できなくなるので家庭選果は大事」

また、AIが正確に選別するため最高ランクに選ばれるハードルも上がり、やみくもに持ち込むと最高ランクの割合が減って収入は上がらないため、選別の重要度が増しました。これが生産者の負担になっているのです。

ミカン生産者 福島徳秀さん「2トン車に100杯くらいちぎってきて、それを1回小屋におろして選果機にかけて、という作業で何度も運んだりしないといけない」

ミカン生産者の福島さんは、家族3人で事前に選別。傷などのチェックはすべて人の目で行い、長いときには5時間かかるといいます。

福島さん「腐敗したミカンの持ち込みが多いと点数も付かないし、自分の収入にも関わってくるので(事前の選別の)徹底は大事」

河内の選果場では持ち込んだミカンの品質によって生産者に点数が付けられ、点数が高い順に売り上げが分配されるため、事前の選別は欠かせません。選別の負担が、生産の抑制につながることが大きな課題となっています。

――選別が大変で生産量が増やせない?
福島さん「生産量が増えると選果の量も増えるので、それはあると思います」

この状況を改善しようと一部の生産者が始めたのが「共同選果」です。