組合員から預かった掛け金約18万円を着服したとして、熊本県農業共済組合が40代の男性職員を懲戒解雇処分としました。
懲戒解雇処分を受けたのは、熊本県農業共済組合で農業保険事業などを担当していた40代の男性職員です。
組合によりますと、男性は今年1月から2月にかけて、組合員6人から預かった建物と園芸施設の共済の掛け金、合わせて18万円余りを組合の担当者に渡さず、着服したということです。

この共済は、雪や雨による園芸施設の被害や建物の火災などに備えるため、組合員である農業従事者が掛け金を出し合うものです。
掛け金を預けた6人は、契約を毎年更新していましたが、今年はこの職員が直接訪問して掛け金を受け取っていました。
しかし5月になり、掛け金が未払いの組合員に郵送されたはずの通知書が、事務所の共有キャビネットに残っているのを担当課長が発見。改めて郵送したところ、6人が既に支払っていることが明らかになったことから、着服が判明しました。
そのため組合は、6月26日付で職員を懲戒解雇処分とし、直属の上司など7人も管理責任を問われて減給10分の1(3か月)や訓戒などの懲戒処分を受けました。
組合の調査に対し職員は、「大変申し訳ない」と事実関係を認めて6月18日に全額を返済したため、警察への被害届などは提出しないということですが、動機について男性は明らかにせず、使い道も「覚えていない」と話しているということです。
熊本県農業共済組合の守田憲史(もりた けんし)組合長は、「組合員に多大な迷惑を掛けて深くおわびする」とコメントし、組合はこれまで職員が管理していた掛け金を預かった際の領収書について、今後は総務課が管理するなどの再発防止策に取り組むということです。
一方で組合は2007年に同様の横領が起きた際には、依願退職した職員の所属した支所や肩書、年齢などを公表していましたが、今回の不祥事については明らかにせず、記者会見も開いていません。
これについて組合はRKKの取材に「懲戒解雇で社会的制裁を受けており、事案も組合のホームページで公表しているので、記者会見は必要ない」と話しています。