水俣病が公式に確認されてからきょう(5月1日)で68年です。
熊本県水俣市では慰霊式が営まれ、鎮魂の祈りが捧げられました。
慰霊式には患者や遺族の他、伊藤信太郎(いとう しんたろう)環境大臣や、チッソの木庭竜一(こば りゅういち)社長など670人が参列しました。
患者・遺族代表で祈りの言葉を述べたのは母・文子(ふみこ)さんが水俣病の認定患者だった川畑俊夫(かわばた としお)さん(73)です。
患者・遺族代表 川畑俊夫さん
「現在も救済されずくるしんでいる方が多くおられます。(国と県・チッソは)患者の現状に真摯に向き合い、全面解決を頂くことを切に望みます」

慰霊式に初めて参加した伊藤環境大臣は・・・
伊藤信太郎 環境大臣
「水俣病の対応、防げなかったこと、改めて衷心よりお詫び申し上げます」
その上で、水銀による健康被害のない世界の実現に向けて取り組むと述べました。

水俣病の認定患者は熊本・鹿児島両県で約2300人。また今も、約1400人が水俣病の認定を求め審査結果を待っています。
今回の大臣の発言について、水俣病の症状があるにも関わらず救済されていないと訴える裁判の原告は。
水俣病熊本訴訟 森正直原告団長(73)
「まだ水俣病被害者は救済されていない。拡大を防げなかったことはもちろん、被害者を早く救わないといかんという発言がほしかった」

一方、不知火海を望む水俣市袋では、患者団体の水俣病互助会が独自に法要を営みました。
この法要は、行政が主催する慰霊式より前から毎年続けられていて、今年で44回目となります。

高台にある乙女塚に集まった60人ほどの参列者は焼香をして、水俣病で亡くなった全ての命に鎮魂の祈りを捧げました。
また伊藤環境大臣と木村知事が、水俣病の患者・被害者団体と懇談しました。
水俣病特別措置法で、不知火海沿岸の住民健康調査をするよう定められていますが
、未だ実施されておらず、団体側から厳しい声が投げかけられました。
水俣病被害者互助会 谷 洋一さん
「もうごまかしはやめてください。是非これから本気になって、水俣病の事実の解明被害の解明に取り組んでください」

これに対し、伊藤環境大臣は「健康調査の実施に向けて検討を加速する」としましたが、具体的な時期については言及しませんでした。










