蜜が溢れる“あまはづき”

二人目の受賞者は、大津町の中瀬靖幸(なかせ やすゆき)さん。

熊本県のサツマイモの生産量は全国6位ですが、そこにちょっとした野望を抱き、勝負に出たんだそう。

なかせ農園 中瀬靖幸さん「(熊本のサツマイモの)品質面だけで言えば、かなり高いんじゃないかなと前から思ってはいたんですよ。それで一矢報えればと思って出品しました」

そんな野望渦巻く、中瀬さんの農園は驚きだらけです。熟成庫に案内していただくと…。

リポーター「熟成庫!デカい!!!」

熊本地震をキッカケに再建した貯蔵庫。サツマイモを管理するための最先端技術が詰め込まれていました。

広い貯蔵庫なのに、所狭しと積み重ねられたコンテナにびっしり詰まっているのは全てサツマイモ。

中瀬さん「サツマイモの品質のためにも、貯蔵庫の中で選別作業をしています」

遠隔で温度と湿度、さらには二酸化炭素まで管理。サツマイモは、まるで土の中で眠っているかのような状態で、ストレスなく糖度を上げることができるんだそう。

今回「さつまいも・オブ・ザ・イヤー」を受賞したのは、なんと去年栽培を始めたばかりだという品種でした。

中瀬さん「“あまはづき”と言う品種になります」

リポーター「初めて聞きますね…」

それもそのはず。実は2021年に誕生したばかりの、まだ一般にはほとんど出回っていない貴重な品種です。

しかも、今までのサツマイモにはなかった驚きの特徴が。

中瀬さん「収穫して間も無く、糖度がガツンと紅はるかと同じくらい高くなります。夏の終わりぐらいから収穫が始まりますが、9月の中頃にはかなり高い糖度で出荷が可能な面白い品種です」

リポーター「なんか塗ったでしょう!?蜜ですか?(笑)」

中瀬さん「イモから出た蜜です」

リポーター「うわぁ!綺麗な色していますね。ちょっと赤みがかかるぐらいの黄色。いただきます。ハハハ(笑)まるでスイートポテト!加工してあるスイーツと変わらない!とろっとろです」

まだ収穫量が少ないため、なかせ農園では来年秋の出荷を目指しているそうです。

そして今、菊陽町に進出したTSMCの影響が大津町にも。

中瀬さん「農地がなくなってしまうかもしれないっていう危機感はサツマイモ仲間たちはみんな言ってはいて」

これからの問題は、農地だけでなく、高齢化による人手不足など様々。

それでも「なかせ農園」では、今回の受賞を機に、サツマイモで熊本を盛り上げて、雇用につなげたいと考えています。

中瀬さん「こだわりを持ったおいしいサツマイモを障がいのある方と一緒に作り上げていけるような、そう言う取り組みを今したいなと考えています」

おすすめの食べ方

二人とも一番おいしい食べ方は「焼き」ということでしたが、他にもおすすめの食べ方を教えてくださいました。

髙鍋さんは「小さく角切りにしカレーに」、中瀬さんは「ジャガイモの代わりにポテトサラダ」にするのがおすすめだということです。

さまざまな楽しみ方があるサツマイモ、ぜひ試してみてはいかが?