「ジャニーズ事務所の社名は変更しない」―――。性加害問題についてメディアを通じて早くからコメントをしている音楽プロデューサー・松尾潔さんが、9月7日の事務所側の会見を受け、11日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で改めて「被害者ファーストであるべき。社名を変更しないことは、被害者を置き去りにしている」と指摘した。「ジャニーズ事務所の社名は変更しない」―――。性加害問題についてメディアを通じて早くからコメントをしている音楽プロデューサー・松尾潔さんが、9月7日の事務所側の会見を受け、11日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で改めて「被害者ファーストであるべき。社名を変更しないことは、被害者を置き去りにしている」と指摘した。
◆ジャニーズ事務所が記者会見
9月7日、ジャニーズ事務所が記者会見を開き、新・旧社長たちが出席しました。すでに4日が経過していて、多くの論評がなされていますが、このコーナーで早くから取り上げてきた問題ですので、改めてコメントします。
今回の会見、「やっと」という気持ちを起こさせるくらい時間はかかりましたが、僕が見た印象としては「この国の中にも自浄作用的なものが残っているのかな」という、かすかな希望を抱きました。
◆「法を超えての救済」は評価
今回の記者会見、「開かれてよかった。めでたしめでたし」という気分ではありませんでした。たしかに、評価すべき点はたくさんありましたが、全体としては、どこか芝居がかった、きつい言い方をすると、茶番めいたところもあった気がします。
まず評価すべき点は、新社長である東山紀之さんが力強く「法的なところに縛られずに」と述べて、法を超えて救済や補償をすると明言したことです。例えば勇気を持って告発された服部吉次さんは70代で、被害はジャニーズ事務所ができる前のことでしたが、「時効だから」という主張はしないということです。
そもそも今の法律全てが正しいのか、ということもあります。国民感情も意識しての決定だと思うんですが、事務所として時効に縛られないような救済や補償を記者会見の場で言ったのは大きなことだと思いますね。
一方で疑問もあります。文藝春秋やBBC、さらに国連人権理事会まで動いたときにも、事務所はまるで静観していました。世界的に見ると相当大きな信頼がおける機関が指摘したことさえも“憶測扱い”していたのです。それなのに、自社の第三者委員会が事実確認したらこんなに(簡単に)意見を覆す。これで「外部の意見に耳を傾けた」と言えるのでしょうか。
◆「会見の不自然さ」の正体
東山紀之さんの新社長就任という人事に関して、僕は疑問があります。身内で首をすげ替えただけじゃないかと。特別チームは「解体的な手直し」ということを提案していました。どう捉えるかにもよりますが、「解体的」には程遠いと思いますね。
それゆえ、東山さんが「人生賭けて」とか「人類史上最も愚かな事件」「鬼畜の所業」とか発言しても、僕には空疎というか、そこまで言わないにしても、ちょっと不自然だなと感じました。その不自然さの最たるものはやっぱり「社名を変えない」ということですね。
特別チームの報告書に、社名の変更について言及がなかったから、記者会見で事務所側から社名について触れることはしなかったのかもしれません。ただ、4時間以上に及ぶ記者会見の終盤で「変更は検討の余地あり」とは言っていましたけどね。







