こっそり行った「闇市」 卵を割ってみると…
買い物するのも大変だった。
月に1回か、よくて2回買い物に行ければ良い方だ。
指導員に事前に頼んでおき、日程が合えば車が迎えに来てくれた。
これは同じアパートに住んでいる他の家族と合同で買い物に行くためのものだった。
またいつ買い物に出られるか分からないので、買い物リストを見ながら買いだめをしていた。
それでも足りないものがある時は我慢をするか、闇市にこっそりと行くしかなかった。
闇市に行ったことが分かると指導員から怒られるし、外出が厳しくなるので相当の気疲れがあった。
しかし安いものを買い求めるのはどこの国の主婦もみんな同じだ。
曽我さんには闇市での失敗談がある。
中身を見られないものは簡単に買ってはならないと思いつつ、どうしても買わないといけないとの思いから卵を買った。
家に帰って早速割ってみると、1つ割ったらひよこになりかけのものが出てきた。
また1つ割ってみたら、どろどろになっていた。
しかしその中でもなんとか娘の誕生日のケーキは焼くことができた。







