巧みな話芸とメッセージ
パギやんの巧みな話芸も映画の魅力の一つです。広島での平和運動に参加する学生たちが、船で向かおうとしたときのことです。
パギやん:けっこうな数の学生が広島におって。おもろいのは、大阪の南港から船に乗るんです。広島に行くのに金がないから。南港で船に乗ったら、妨害に来る右翼も一緒に乗っている。右翼も金ないね。ものすごく丁寧で「また広島でお会いしましょう」。
映画には出てきませんでしたが、創作浪曲『医師・中村哲』という作品では九州の言葉を駆使しながら浪曲を歌い、名作映画を歌と語りで再現する「歌うキネマ」は、映画を一人芝居で演じていく。様々な表現があって、話芸はかなり幅広いです。
旅の途中、移動中の車の中ではこんな会話もありました。
パギやん:「みなさんが何十年も戦って来たのに感動しました」というから、「バカヤロウ、若いやつが感動するな!参考にしろ!」と言ったんだ。そしたら「はいっ」とか言って。
「感動するな、参考にせよ」。なかなかかっこいいフレーズを言うのです。
実は、私とも個人的なつながりがあって、津久井やまゆり園障害者殺傷事件の後、障害のある子供を持つ私が書いたFacebookの文章が拡散しました。その文章を歌詞にして、『障害を持つ息子へ』という歌を作ってくれた人でもあります。
※この歌を放送するために、RKBとTBSラジオと共同制作した1時間ラジオドキュメンタリーが『SCRATCH 差別と平成』。
https://podcastranking.jp/1512354362