旅し、歌い、語るパギやん
映画では、北海道から沖縄まで全国各地を巡り、歌い、人々と対話するパギやんの姿が追われています。札幌でのライブでは、金時江氏(札幌「ギャラリー茶門」主宰)がパギやんの反骨精神の根源に「在日」の存在があることを指摘しています。

♪百年経てば 山河も変わる 国も亡べば 人も死ぬ
昨日も今日も 生きてはみたが 幸せそれとも不幸せ
百年経てば 山河も変わる 主権在民 平和主義
人権尊重どこ吹く風で 格差社会の生き地獄♪
(『新百年節』より)
金時江(札幌「ギャラリー茶門」主宰)インタビュー:今日の歌を聴いたって、みんなどこから反骨精神が出てくるのか。何を恐れないで何を伝えるのか。やっぱりその根は、「在日」だと思います。
基地の重圧に苦しむ沖縄でのライブ企画、北海道でのアイヌの人々との交流、さらには韓国・済州島での4・3事件や光州事件の現場を巡る旅は、ロードムービーのような構成で描かれます。沖縄でのライブに共演したフォークシンガーの中川五郎さんとの音楽談義も必見です。

パギやん:うまく歌を歌う人も、もちろん素晴らしいのだけど、そうじゃなくて、歌の伝わり方。伝わってくるものと、「全然お前の歌は伝わらへん」というのがあるんですよね。
中川五郎さん:上手で演奏がうまくても、通り過ぎる。なんで聞かせようとしているのかというその思いが重要だと思うんですよね。自分が人前で歌おうと10代の半ばで僕が思ったのは、アメリカやイギリスのフォークソングを聴いて、「下手でも歌っていいんだ」、歌を歌う人にプロもアマチュアも、玄人も素人もなくって、「歌う気持ちがあればできるのがフォークソングだ」と思ったんです。それが人前で歌う原点としてあるから今も、伝えたいことがあるから歌おうとするんですよね。