高齢化と担い手不足という課題
しかし、保護司の高齢化や、昨年滋賀県で起きた痛ましい事件の影響などから、保護司のなり手が減少しているという深刻な現状も存在します。このため、新たに保護司に就任できる年齢の上限である現行の66歳を撤廃するとか、インターンシップを通じた公募制の試行、安全な面会場所を確保するなどの改革案も出ているのですが、これだけでは保護司の減少に歯止めがかかるとはいえません。
報酬制の導入も議論されたのですが「自発的な善意を象徴するもので報酬制はなじまない」として見送られています。いずれにしても保護司の人員確保は簡単ではなく、保護司制度を世界標準にできたとしても本家本元が苦しむ状況はそう簡単に変わりそうもないことが、悩みの種となっています。
日本の強みを世界へ
今回の保護司制度の国際的な展開は、日本が持つ優れた制度が世界に認められる一つの事例と言えるでしょう。経済発展を続けるベトナムにおける複式簿記や税法整備への日本の貢献も、その一例です。
日本が国連の準則を通じて再犯防止に向けたリーダーシップを発揮することは、今後、様々な分野で日本の良さを世界に広げていくための先駆けとなることが期待されます。
◎山本修司

1962年大分県別府市出身。86年に毎日新聞入社。東京本社社会部長・西部本社編集局長を経て、19年にはオリンピック・パラリンピック室長に就任。22年から西部本社代表、24年から毎日新聞出版・代表取締役社長。