2024年3月にこれまで勤めていた放送局を退職した私は、タイ北西部のミャンマー国境地帯に拠点を置き、軍政を倒して民主的なミャンマーの実現をめざす民衆とともに、農業による支援活動をスタートさせた。
オクラは順調に育っているが、この秋、厳しい決断をしなければならなかった。これまで協力してくれた日本企業との決別だ。
一時帰国 日本の我が家で家族と過ごす日常に罪悪感
7月下旬に日本に戻ると、不在の間にたまっていた諸事にしばらく忙殺された。
これは一時帰国するたびに起きる避けられない事象だが、この1週間ほどを乗り切ると、頭と体が日本になじんでくる。
そして事あるごとに、「あー快適だ」と口にしている。
本当に日本という国は、私が住む福岡という街は、なんと住みよいところなんだろう、と実感する。

自分の家で、家族と過ごす日常。一緒に食卓を囲み、テレビを見て笑う。
久しぶりの在宅を、まだ無邪気に喜んでくれる子供たち。
私自身の家族であり、その暮らしの一コマなのに、少し離れたところから眺めて、「恵まれた人たちだな」と思ってしまう自分もいる。
家族や自分が幸せに暮らしていくことは、何も悪いことではないのに、「自分は恵まれすぎている」という罪悪感にも似た感情が芽生える。
私自身の精神もどこかおかしくなってしまっているのかもしれない。
ただ、こんなことを一人でうじうじと考えていても意味は無い。
この罪悪感を消すには、ミャンマーの人々への支援を前進させるしかないのだということは分かっている。