100頭以上が暮らすゾウの保護施設

北部チェンマイで100頭を超えるゾウが暮らす保護施設「エレファント・ネイチャーパーク」。

観光地で酷使されたゾウが次々と運ばれてきます。

保護施設を創設したレック・セーンドゥアンさん
「このゾウは観光客を乗せるゾウで、先週まで働いていました。私たちが救助してあげないと死ぬまで働かせるだろうから助けることにしました」

施設を運営するためには観光収入を得る必要があるものの、ゾウ乗りや見世物のショーは行っていません。

RKB 村橋佑一郎記者
「観光客向けのツアーが行われていますが、自然に近い状態で生活しているゾウを間近でみることができます」

観光客にはゾウのありのままの生態を観察してもらいます。

また、ゾウ使いたちは調教をやめ、クラフト作品の制作・販売などを手がけることで、新たな収入源を確保しました。

外国人観光客
「ゾウの本当の生活を見ることができてとても良いことだと思います」
「ゾウを使ったエンターテインメントはすべて禁止すべきです」

こうした新しい観光スタイルは国内8つのキャンプに広がり、ゾウ乗りなどをやめたところもあるといいます。

保護施設の創設者・レックさん
「『ゾウを幸せにさせると人々も幸せになるビジネスモデルができるよ』ということを伝え、すべてのキャンプが社会的責任を考えるビジネスに変わってほしいです。日本の人たちにもゾウの観光をするときに考えてもらいたいと思っています」

人を襲う野生のゾウ

ゾウとの共存を模索する一方で別の深刻な問題もあります。

タイでは近年、過度な森林開発や気候変動の影響でゾウが暮らせる自然環境が失われつつあるのです。

そのしわ寄せは、4000頭以上が生息する野生のゾウにも。

野生のゾウが保護区の森を出て、エサを求めて農地を荒らしたり、人間と衝突したりするケースが頻発しています。