◆もし、最後の手紙が届いていたなら――


そして最後の手紙(創作)――舞台ではこう伝えられました。

「この度は長い間便りもせずご無沙汰に過ぎ 誠に申し訳ありません。補給も滞り糧秣も弾薬も 底をついてまいりました。正巳、タミ、皆様は元気でお過ごしでしょうか。郵便も中止となるようです。これが最後の手紙になるかもしれません。母上よりのお守り様 お守り入れにいれました」

1944年7月7日、邦生さんは太ももに砲弾を受け、25歳の若さで命を落としました。
森温子さん「(祖母が手紙を保管していたのは)戦死した子供を思う母の気持ちですもんね。ほんとに大事にしていたんだと思います」

◆野坂昭如『戦争童話集』も朗読

9日の舞台では、邦生さんの手紙と、作家の野坂昭如さんが戦争で傷ついた人々を描いた童話集が朗読されました。かつて役者だった温子さんも約40年ぶりに舞台に立ちました。

「ミズミズ、どんどん薄れる意識の中で、お母さんははなお念じつづけ、それにつれて、血は盛んに吹き出し、満遍なくカッちゃんをおおいつくしました。」(戦争童話集「凧になったお母さんより」)
「戦争の悲惨さを後世に伝えたい」。森さんの思いに賛同した音楽家や役者仲間も、舞台に立ちました。

来場者「いろんな視点というか、今まで聞いてきた戦争の話と、1人にスポットを当てた話で、感慨深いというか、非常に聞いていて胸にくる話だったな、と」「戦争があったら大変だなと思いました。平和な国がいいです」
森温子さん「こういうことは、どんどん語り継がないといけないなって。私は、今のメンバーとこういう形でやっていきたいな。それが見えたことがうれしいですね」

◆26歳の記者はどう感じたか スタジオ解説