ウクライナで戦争が続くこの夏、戦後77年の終戦の日を迎えるにあたってRKBでは戦争の現実を伝え、未来に教訓をつないでいく特集をシリーズでお送りします。
こちらは、太平洋戦争で命を落とした男性が戦地から家族に向けて送り続けた手紙です。その数は200枚以上に上ります。男性の母親が大切に保管していた手紙には家族への思いがつづられていました。

◆検閲された戦地からの郵便

「拝啓森三助様 軍事郵便 検閲済み 昭和15年」
「早いもので中支に来て 軍隊生活ももう半年が経ちました。今日は夜通し 城門衛兵に服することになっております」
8月7日、福岡市博多区で上演された朗読劇。太平洋戦争で命を落とした日本兵が戦地から送った手紙を元に、作られました。手紙の送り主のめいにあたる森温子さん(68歳)です。3年前、祖母の遺品を整理していたところ偶然、戦死した叔父・邦生さんの手紙を発見したといいます。
森温子さん「叔父・森邦生さんの、家族へ向けて贈った手紙類なんですね。祖母(邦生さんの母)の遺品から出てきました。びっくりしましたよね、『これは私が何とか読み解かないといけないんじゃないかな』と思っていたんです」
陸軍の兵士として20歳で中国に渡った邦生さんは、戦地から家族へ向け手紙を送り続けました。その数は、残っているだけで200枚以上に上ります。

◆25歳で戦地に消えた青年の命

「戦地に来て何より嬉しいのは家よりの便りですから 精々手紙を送って下さい」
「将来は 家で正月が楽しく出来るのを待って居ります」
「皆様の御健康を 遥か戦地より祈りつつ――」


手紙には、家族の健康を願う温かい言葉がつづられています。しかし、戦況が悪化するにつれ文面にも変化が出てきます。

「本年に入ってから度々の作戦で 家へも満足に手紙を出して居らない」