◆疑念が残る森・元首相の関与
また、そもそも「安倍派5人衆」というくくりは、安倍氏ではなく、その死後に森喜朗・元首相が雑誌の取材に「少なくとも2年か、3年のうちに、5人のうちで自然に序列が決まっていく」と話したことから生まれた言葉で、後継候補に指名したのは森氏。いわば、派閥のフィクサーです。
このため、安倍氏がいったんは「やめる」と言ったパーティ券収入のキックバックを誰が復活したのか、真相を知るキーマンではないかとも言われたわけですが、岸田首相は4日の取材に対し、森氏に直接電話で事情を聴いたものの「新たな事実は確認され」ず、「具体的な関与については確認できていない」と述べました。
ただ、いつ聴取し、どんなやり取りがあったのかなど、詳細は明らかにせず、ここにも疑念は残ったままです。
また、森氏は先ほどの雑誌の記事の中で「(5人衆)みんなの一致していることは、下村博文だけは排除しようということ」とも明かし、その下村氏は松野・前官房長官より前の事務総長で、受け取った額も松野氏の半分以下でしたが、処分は西村氏と同じく党員資格停止1年という重いものでした。この基準もよくわかりませんよね。
◆武田氏の「党の役職停止」と岸田首相の不処分に党内からも疑問の声
そして毎日新聞によると、処分内容で最後までもめた一つが、二階派事務総長の武田良太元総務相の処分だったと言います。麻生太郎・副総裁が事務総長の立場を重視し、安倍派の事務総長を最近まで務めた高木毅前国対委員長と同じ「党員資格停止」を主張したのに対し、森山裕総務会長らが、組織的に裏金を作った安倍派と、組織性が認められない二階派は事情が異なるとして、「党の役職停止」にとどめることを求めて意見が割れたと言います。
背景には、地元・福岡での対立関係があるとみられていますが、最終的に武田氏の処分は当の役職停止にとどまり、党幹部は「処分はそんな些末な事情で判断したわけではない」と否定しました。
最後に、搭載である岸田首相が処分されなかったことについては、塩谷氏が弁明書の中で「道義的・政治的責任も問われるべき」と訴えるなど、党内からも反発や疑問の声が出ています。これほど大きな不祥事が民間企業であれば、トップが責めを負うのは当然です。
今国会での成立を目指すという政治資金規正法の改正が骨抜きにならないか、私たちはしっかり見つめていかなければならないと痛感します。「先送りして、オリンピックが始まれば忘れるだろう」なんて、ゆめゆめ思われないように、です。
◎潟永秀一郎(がたなが・しゅういちろう)

1961年生まれ。85年に毎日新聞入社。北九州や福岡など福岡県内での記者経験が長く、生活報道部(東京)、長崎支局長などを経てサンデー毎日編集長。取材は事件や災害から、暮らし、芸能など幅広く、テレビ出演多数。毎日新聞の公式キャラクター「なるほドリ」の命名者。







