◆塩谷氏の離党勧告は「まるでスケープゴート」
次に、今度は重い方です。今回、最も重い「離党勧告」を受けたのは、塩谷立元文部科学大臣と、世耕弘成前参院幹事長の2人でした。安倍晋三・元首相の死去後の安倍派の衆院と参院のトップで、還流継続を止めるべき立場だったから、という理由のようです。
ただ、特に塩谷氏に関して言うと、派閥の「座長」だったとはいえ、在任期間も去年8月からわずか5か月間。しかも実質は、「5人衆」と呼ばれた、世耕氏や萩生田光一前政調会長、西村康稔前経済産業大臣、松野博一前官房長官、高木毅元復興大臣――らが派閥を仕切り、塩谷氏は調整役に過ぎなかったと言われ、それは党幹部も十分承知のはずです。
また、受け取った裏金の額も234万円で、一般議員は戒告すら免れています。結果、本人も党執行部による処分の仕方は「独裁的・専制的」で「不当に重すぎる処分を受ける」のは「到底受け入れることはできない」と反発し、弁明書を提出しました。
その中にもありますが、「まるでスケープゴート」=人身御供のようにも映りますし、毎日新聞によると党内からも「(執行部は)誰かに責任をおっかぶせて楽になりたかっただけだ」という批判が出ているといいます。
◆「必ずしも悪い話ばかりではない」世耕氏の離党
もう一人の世耕氏は5人衆の一人でもあり、額も1500万円余りと大きいので、塩谷氏のような同情論はありませんが、今度は同じ和歌山を地盤とする二階氏との「痛み分け」論がささやかれます。
ご存じの通り、二階・前幹事長は先日「次の総選挙には出ない」と表明して、処分を免れました。ただ、後継に息子を立てるはずだと地元では言われています。一方、世耕氏は参院議員ですが、以前から衆院鞍替えの意向を持っていて、選挙区がかぶる二階氏は強く反発してきました。
世耕氏は処分を受け入れ離党したので、もう自民党公認候補として衆院選には出られず、引退した二階氏と痛み分けの形になったわけです。ただ、話はそう単純ではなく、逆にこれで世耕氏は党内の公認調整なしに、無所属で堂々と衆院和歌山2区に立てます。
地元では厳しい処分への同情票も期待でき、当選すれば復党は許されるわけですから、必ずしも悪い話ばかりではないという声も、地元ではあるようです。
◆裏金額ではなく党内力学で決まった処分
また、5人衆というくくりで見ても、処分は分かれました。今言ったように、世耕氏は上から2番目に重い離党勧告。次に西村・前経産大臣は、処分を受けた中で裏金の額は最も少ない100万円ですが、事務総長経験者ということで3番目に重い党員資格停止1年。同じく事務総長経験者の高木・元復興大臣は党員資格停止6か月です。今の衆院議員の任期は来年10月までですから、資格停止中に解散総選挙となれば、公認されません。
一方で、同じ事務総長経験者でも、岸田首相の女房役だった松野・前官房長官は下から3番目に軽い、党の役職停止1年。また派閥での役職はありませんが、処分された議員の中で2番目に多い2700万円余りを受け取っていた萩生田・前政調会長も同じく役職停止1年です。
党内での重みで言えば、官房長官だった松野氏や、政調会長だった萩生田氏は、経産大臣だった西村氏と同列に映りますし、安倍派の後継総裁候補として言えば5人はほぼ同列か、むしろ萩生田氏がトップだったはずですが、これも国民には分かりにくい処分です。







