元広島市長 平岡敬 さん
核兵器禁止条約への言及がなかったことと、それから本当に今、戦争が新しい段階に入りつつあるとわたしは思っているんです。というのは、イギリスが劣化ウラン弾を供与し、そしてアメリカがクラスター爆弾をウクライナに供与する。これはそれぞれ非人道兵器なんですよ。こういうものを使って戦争が拡大していくと、最終的には核兵器使用までいかざるを得ないという危機感があるものですから、わたしは今、ただちに平和を広島から呼びかけるべきだと思います。戦争はやめろということですね。いい悪いは抜きにして、とりあえず戦争をやめるということが非常に大事だと思うんですね。

田村友里 アナウンサー
これもSNSで集めた質問です。20歳の方から「なぜ、日本は核兵器禁止条約に印を押さないのでしょうか」といただいています。

元広島市長 平岡敬 さん
それは他国から見れば、核の傘に守られている日本が核兵器廃絶というのはおかしいじゃないかということがありますね。日本は要するに核の傘にもとにいるという、つまりアメリカと軍事同盟を結んでいると。そのことは、核兵器禁止条約に踏み切れない原因だと思いますね。核兵器禁止条約に調印するためにはやっぱり核の傘から出なきゃいけないですね。問題は、出たらどういう国民の安全を保障することができるかということを議論しなきゃいけないですね。それを抜きにして、ただ出ろ、出ろといっても問題解決にならないわけですから。国民全体で核の傘がなければ、どうしてわれわれの安全を確保していくのかということについて議論を始めると。それをきちっと政府が先導しなければ、核兵器禁止条約にとても踏み込めないですね。

田村友里 アナウンサー
日本政府は、第1回の締約国会議にもオブザーバー参加せず、第2回に参加してほしいという意見も多いと思うんですけれども、このへんはいかがですか?

元広島市長 平岡敬 さん
やっぱり核の傘が全部、足かせになっていると思いますよ。それがなければ堂々と核兵器禁止条約に入れるわけですから。核兵器禁止条約は、世界の人々がみんな望んでいる条約なんですよ。それについて日本がですね、唯一の戦争被爆国と言っているわけですから率先して入っていくというのが一番いいと、われわれはそう思いますけどね。アメリカとの関係、それが一番足かせになっていると思います。これを話せば、いろいろ難しい問題がいっぱいあるんですよ、日本とアメリカの関係ね。

田村友里 アナウンサー
日本政府に核兵器禁止条約を批准するよう求める署名というのは、これまでに130万人分以上が提出されています。

元広島市長 平岡敬 さん
素ぼくに考えれば、核兵器禁止条約に入ろうじゃないかと、みんな、そう思うわけですね。うん、それは入らないといかん。それはやっぱり核の傘の問題が重くのしかかっているからですね。

田村友里 アナウンサー
17歳の方からこんな質問もいただいています。「戦争を止めたり、なくしたりするために今の若者に求められることは何でしょうか?」と。平岡さん、どうお考えですか?

元広島市長 平岡敬 さん
戦争だとかそういうことを、自分の問題として考えることができるかどうか。想像力を働かせなきゃいけないよね。それには歴史を学ぶ。過去の歴史を学んで、そして自分たちが、未来があるわけですから、その未来をどういう未来を作っていくかということは、やっぱり過去の歴史から学んでいかなければ、自分の未来は作れないんですね。そういう意味では、まず想像力を働かせること。歴史を学ぶこと。そして、その歴史を学ぶいろんな材料があるんです。例えば広島だったら資料館がありますし、さまざまな被爆者の手記がありますね。そういう手記をきちんと読んだら、そこで自分の想像力を働かせて、いったい戦争になったらどうなんだろうかということをきちんととらえることができると思いますね。