「心を砕けば砕くほど…」

判決から年月が経ち、由美子さんは加害者と手紙のやり取りを重ねてきました。

加害者の母親が自宅に来たことも、加害者が講演を直接聴講したこともあったといいます。『生命(いのち)のメッセージ展』という、事件や事故で命を奪われた被害者の靴や等身大パネルを展示する場で、伊織さんと対面したこともありました。

しかし、やり取りを続ける中で由美子さんは気づきました。

「心を砕けば砕くほど、恨みが募っていく私がいた」

当時由美子さんは「後悔しないだけのことをやり尽くさなければ」という思いに縛られていたといいます。

そんなとき、伊織さんならどんな言葉をかけるだろうかと考えました。

三浦由美子さん
「浮かんできたのは『お母さん、もういいよ』という悲しげな言葉でした。

私たちに誰かの言動で幸福を左右されず、自分の人生を生きてほしいと願う伊織の顔でした」