「落ち着いて聞いてください」電話口から聞こえてきた声

伊織さんが乗っていた自転車

電話口から聞こえてきたのは、警察の、慎重に言葉を選ぶ声でした。

「こちらは警察です。三浦伊織さんのお母さんですか。落ち着いて聞いてください。

安佐南区の県道で午後9時30分頃、自転車と自動車の接触事故がありました。自転車に乗っていた男性の身元が確認できず、自転車の登録番号から電話をしています。

心肺停止状態で病院のICUに運ばれました」

接触事故と心肺停止…。その二つの言葉を結びつけることができませんでした。

「まだ助かる」「うちの子ではないと確認しよう」

そんな思いを抱えながら、自転車の色を尋ねたといいます。

「赤と白の競技用の自転車で、前輪と後輪のタイヤの色が違う」

伊織さんが大切にしていた、特徴的な配色の自転車でした。