核兵器廃絶を目指す科学者たちが集まる『パグウォッシュ会議』が最終日を迎えました。会議では、広島宣言を発表し、5日間の日程を締めくくりました。
広島国際会議場で開催された「第63回パグウォッシュ会議世界大会」には、39か国からおよそ190人が参加しました。

「パグウォッシュ会議」は、70年前にアインシュタイン博士などが核戦争を回避するよう呼びかけたことから始まった科学者の国際組織で、30年前にはノーベル平和賞を受賞しています。広島での開催は、20年ぶり3回目です。
5日は、核兵器だけでない、「戦争放棄」や「分断を超えた対話」をテーマに意見が交わされました。
トロント大学イゼルディン・アブエライシュ教授
「世界のリーダーたちは、まさに今、それぞれの政治的な立場を超えて、人間としての課題に取り組まなければなりません」

パレスチナ人で難民として生まれ育ったトロント大学の医師、アブエライシュ教授は、家族が撮影した生々しい写真を示しながら、ガザの爆撃や飢餓の状況を報告しました。自身も娘3人を殺されて失ったといいます。
それでも「憎まない」ことで憎しみが伝染病のように広がる現状に抵抗している、自分は医師として希望を失ってはいないと、決意を共有しました。
パグウォッシュ会議 フセイン・シャハリスタニ会長
「ここ広島から、私たちは強い信念をもって宣言します。いかななる状況下においても、核兵は二度と使用されてはなりません」
最後のセッションでは、「終末時計は今、あと89秒を指し、史上最悪に核の危険性が増大している。壊滅の脅威をもたらす核抑止政策では、本当に平和は築けず、真の安全保障を提供しない。核兵器への依存を排除することは、道義的義務であると同時に戦略としても必要だ」などと、各国を促す「広島宣言」で締めくくりました。

































