口内環境を改善することで様々な疾患の予防に効果があるという研究が、広島大学で続いています。

京都で開かれた日本食道学会の学術集会。2日間で全国から、外科医師や研究者など1200人が集まる権威ある学会です。そこで講演するのは外科医師ではなく・・・

広島大学大学院・二川浩樹教授(歯科医)
「皆さんこんにちは、広島大学の二川と申します。専門は歯科補綴学、何をやっているかわかる人は一人もおられないと思うんですけど」

科医師で、広島大学大学院の二川浩樹教授です。2008年、歯周病に効果があるというL8020乳酸菌を発見しマウスウォッシュなどが商品化されています。

続いて、講演に立ったのは二川教授と共同研究する食道外科の医師です。

秋田大学附属病院・佐藤雄亮准教授
「オーラルケア商品で口の中をいい細菌、有利な環境にしてから食道癌の術後、手術をすると合併症を減らせるんじゃないか。これまでの経過は仮説通りでして肺炎も減っている」

口内環境を改善することで食道癌の手術後の肺炎などが減少したそうです。学会を主催した京都大学の武藤学教授も二川教授の研究に期待を寄せています。

京都大学大学院・武藤学教授(がん薬物治療)
「今年の2月か3月か品切れ品切れで、皆さんなかなか手に入らないかも知れませんが、それくらい期待が高いと思ってます」

講演を聴いた参加者もー

京都大学・奥村慎太郎医学博士(消化管外科)
「私自身は歯周病ががんの原因になるっていうことをずっとやってたので、本当にがんの予防の方法になるんじゃないかとわくわくしてるところです」

大阪医科薬科大学・松尾謙太郎助教(消化器外科)
「乳酸菌でそういう予防が出来るというのはかなり印象的でした。期待できると思いますし、自分でも使ってみようと思いました」

医科の学会で歯科の専門家が講演することは珍しいそうです。

二川教授「昔では多分考えられなかったと思いますし、医師の先生方で口の中の細菌に非常に興味を持っていただいてる先生が増えたなというのがすごく感動いたしました」

共同研究する2人は医科と歯科の垣根を越え、研究を続けていきたいと話します。

秋田大学附属病院・佐藤雄亮准教授
「歯周病っていうのは、人がかかる全ての病気に悪影響を与えているということがいろんな科学的データから証明されてきています。人がかかるようないろんな病気になるリスクを下げられるんじゃないかなと期待しています」


広島大学大学院・二川浩樹教授
「口、食道は消化器の入口ですから、医科と一緒になって食道がんの予防まで話が発展していけば非常に嬉しいと考えています」

(スタジオ)
医師の間でも口内環境の改善について関心が高まっているということなんですね。食道学会でも注目されたこのL8020乳酸菌について、二川先生に話を聞いてきました。

橋本莉奈アナウンサー
「こちらは二川先生の研究室です、お邪魔します。よろしくお願いします」

二川教授が発見した歯周病菌や虫歯菌を抑えるL8020乳酸菌。この乳酸菌が今、全身疾患にも効果があるのではないかと研究が進められています。

(脳出血)
「脳出血の原因の一つと言われる乳酸菌も、L8020乳酸菌のタブレットを一日1個食べることで口の中から減らしていくことが我々の研究でわかりました」

日本口腔検査学会の雑誌です。この乳酸菌を摂取することで脳出血を引き起こすとされる虫歯菌が減少していると報告されています。

(アルツハイマー型認知症)
「海馬に炎症が起こることがアルツハイマーの前駆症状と言われていますので」

こちらはマウスを使った実験です。アルツハイマー型認知症の初期症状である脳の炎症がL8020乳酸菌の投与で大きく減っていることがわかります。

(善玉菌を残す効果)
広島大学大学院・二川浩樹教授
「実は口の中の悪玉菌は1%くらいしかいない。残り99%が善玉菌なんです」


殺菌剤を使用すると、1%の悪玉菌だけでなく、99%を占める善玉菌も減少。結果、悪玉菌の比率が増え口内環境が悪化することになります。一方、L8020乳酸菌は悪玉菌だけに作用し、善玉菌によい影響を与えるといいます。

「L08020乳酸菌というのは、悪玉菌を殺すんですけども、善玉菌はそのまま残すので、悪玉菌が死んだスペースで徐々に善玉菌が増えているというメリットがある」

橋本莉奈アナウンサー
「ウォンツ井口明神店です。こちらでL8020乳酸菌を使った商品が販売されているということですので、行ってみましょう。すごい乳酸菌という大きいポップに色んなタイプの商品があるんですね」

ウォンツ井口明神店・物袋将太店長
「リピートのある商品で、特に40代から60代の女性の方に大人気の商品です(やはりお口の中の環境は気になるっていう方も多いですよね)そうですね実際に売れ行きはいかんダントツで、こちらがマウスウォッシュが大人気でございます」



マウスウォッシュは普段の歯磨きの後に使えるプラスワンの商品として大人気だそうですが・・・

橋本莉奈アナウンサー
「私のマウスウォッシュを使ったことがなくてですね」
広島大学大学院・二川浩樹教授「そうなんですね。マウスウォッシュのいい点っていうのは、歯茎とほっぺたとか歯茎と唇、口腔前庭というんですけど、そういうところまで汚れを取ることができるので、いわゆるブクブクうがいですね」

二川教授は、このL8020乳酸菌を子どもたちにも摂ってほしいと話します。

広島大学大学院・二川浩樹教授
「子供の頃に菌叢が徐々にできていきますから、ぜひ小さいお子さんにも食べていただいたらいいと思います」

(スタジオ)
2週間、試すと口の中のさっぱり感が違ってくるということで、歯磨きジェルとマウスウォッシュ、私も試してみました。すっきり、爽快感があって低刺激。

広島大学の二川先生は、今後も、秋田大学の佐藤先生とともに、医科と歯科の連携で食道癌の手術後の肺炎などの予防について研究を続けられるということなので、こちらも注目したいと思います。