戦後80年となる今年8月6日の「原爆の日」の平和記念式典について、広島市は参列が124の国と地域になる見込みだと発表しました。
広島市によりますと、11日までに今年の平和記念式典への参列意志を示したのは海外から124の国・地域とEU代表部幹部で、おととしの111か国を上回り、過去最多となる見込みです。
このうち、紛争が続くイスラエルとパレスチナ、イランについてはそれぞれ大使が参列する意志を示しているということです。パレスチナは昨年まで招待されておらず、式典に公式に参列するのは初めてです。また、台湾についても今年が初参列となります。
核兵器保有国では、これまでにイギリス、フランス、インドの参列が予定されています。アメリカについては現在「調整中」だということです。
核保有国のうち、ロシア、中国、パキスタンについては参列する意思が示されていません。一方、ロシア国営タス通信によりますと、ロシアのニコライ・ノズドレフ駐日大使は先月、広島市からの「通知」について「招待状とは言えない」などとして、参列を見送る方針を明らかにしていました。
広島市はまた、ロシアと戦争中のウクライナからも回答は届いていないとしています。
広島市は昨年まで、日本が承認している各国の駐日大使や核兵器禁止条約に署名・加入していない国の首脳に対して、相手方を指定して式典の出席を求める「招待状」を送っていました。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻以来、ロシアとベラルーシを3年連続で招待していない一方で、ガザ地区への攻撃を続けるイスラエルを去年招待したことから、被爆者団体などから「二重基準」などと批判が上がっていました。
そのため広島市はことし、これまでの各国の政府代表を「招待」する方法から、式典の開催を知らせる「通知」に変更。
ロシアやウクライナ、イスラエルやパレスチナなど日本と外交ルートがある全ての国と地域のほか、式典参列の意向があった台湾を含む、196の国と地域に対して「通知」文書を送付し、式典の趣旨を理解した上で出席の判断を各国に委ねるとしていました。