80年経っても…見つかったのは幼い子どもの遺骨

3月25日、嘉陽さんの姿は似島にありました。2018年に実施した調査現場で、1人作業を進めます。

ショベルで当時の地層まで掘り進めると、そこからは手作業に。丁寧に土をかき分けて遺骨を探します。すると、嘉陽さんの手が止まりました。

「可能性として頭蓋骨。人骨だと思います」

さらに進めていくと…

「これ歯じゃないかと思うんですよ。たぶん歯。永久歯、でも、ということは子どもか…(Q永久歯が生えてない?)生えてない状況ですね」

注意深く、周辺を探していると

「あぁ、歯がありますね。これもまだ永久歯が生え替わっていない。なんと、こども…。やりきれんですね。これは」

見つかったのは、下のあごの骨でした。そして、その骨の中に、まだ生え替わる前の歯がありました。このことから、幼い子ども、未就学児の可能性が、あるといいます。

「この子もかわいそうですけど、この子の親御さんの気持ちを考えると…」。嘉陽さんの手が止まり、涙が頬をつたいました。嘉陽さんは「子どもを殺していい理屈なんてない」と語気を強めます。

今回の調査では、頭やあごなど10数個の遺骨が見つかりました。同じ人の遺骨かは、特定できませんが、頭の骨も、成人骨ではないとみられるといいます。

遺骨・遺品の発掘調査に取り組む 嘉陽礼文さん
「アメリカでは、原爆を正当化する主張が未だに根強いと聞くが、子どもを殺してもいい理由があるのかと、私は強く問いたい。この理不尽な殺され方をして、ずっと苦しまなければならなかった、この子の気持ちを考えてみてくださいと言いたい」

被爆から80年。草木も生えないと言われた広島の街は復興を遂げました。しかし、その目と鼻の先に、あの日から止まったままの人たちがいることを忘れてはいけません。