「中国ジェイアールバス」は、9月から社名を「JRバス中国」に変更すると発表しました。酒井俊臣 社長に社名変更の理由について話を聞きました。

広島市に本社を置き、中国地方でバスを運行している中国ジェイアールバス株式会社は、JR西日本のバス部門を分離して設立された1988年3月から使用してきた社名を、9月1日からJRバス中国株式会社に変更します。

社名変更にはJRグループであることをより前面に打ち出す意図やコロナ禍を経て次のフェーズに向けた意識改革の意図があるといいます。

中国ジェイアールバス 酒井俊臣 社長
「コロナ禍が明けてお客さまが戻りつつある中で気分を一新したいというのが第一。また、JRブランドを前面に押し出したいという気持ちがあった。加えて、会社設立時は社名にアルファベットを使用できなかったためカタカナ表記としていたので、すっきりとした社名に変えたいという想いや、すでに車体の表記や広告で使用している名称でもあったので、いっそ社名にしたいという想いもあった」

コロナ禍では一時、県境をまたぐ移動の自粛が呼びかけられたこともあり、売り上げが激減。一時は社員の退職も相次いだといいます。

酒井俊臣 社長
「30年以上かけて蓄積してきた利益の積み上げを一気に使い果たしてしまった状態。社員も約2割減ってバスを動かす輸送力も8割になり、営業収入は半分以下になってしまった。そのため、収支のとれない路線を廃止・減便する判断をさせていただいた。沿線の方々にはたいへん申し訳ないという気持ちでいっぱいだが、会社を続けていかなければならないし、社員に給料を払っていかなければならなかった」

厳しい状況に置かれていたバス事業でしたが、昨年度は、乗客数の回復や路線の再編などでコロナ前のおよそ9割まで収益が回復したということです。

酒井俊臣 社長
「春闘や夏のボーナスは、ほぼコロナ前に戻り、ベースアップはこれまでにない数字を会社として出すことができたので、待遇面では社員の方も少し安心してくれたのではないかと思う。今年に入ってからは社員の退職も少なくなった」

中国ジェイアールバスでは、9月の社名変更を契機に、新型車両への投資や、運行をやめていた路線の再開などを進めたいとしています。

酒井俊臣 社長
「バスは小さな需要でも成り立つので、市場をうまく見つけ、新しい売りとなるような車両やサービスを提供することで、顧客をまだまだ獲得できると思っている。今後は安全装置がついた新型車両への投資のほか、コロナ禍で減少した社員数を回復させていくことができれば、現在、運行を休止している高速バスの路線を復活させていきたいと考えている」