「三段跳びでインターハイとかは思っていなかったです。だからめっちゃビックリしました、県高校記録!みたいな、まさかのまさかのマジでまさか」

陸上跳躍界に現れた新星・那覇国際高校1年、喜久里彩吹(きくざと いぶき)。三段跳びは4月に始めたばかりですが、全国高校総体の南九州予選では追い風参考ながら、高1の日本記録(12m22)を超える12m41をマークし準優勝。

走り幅跳びでは5メートル78の大ジャンプを決め、南九州の強豪を破って、1年生ながら優勝を果たしました。

那覇国際高校1年、喜久里彩吹選手
「嬉しいです、3年生の先輩もいてその中で勝てて嬉しい。1年生のうちに(全国を)経験して、3年生で爆発したい」

特に三段跳びは直前に新型コロナに感染するアクシデントの中、全国総体でも1年生ながら7位入賞。30年近く破られていなかった県高校記録は三段跳びを始めてわずか1か月で更新しました。

そんな彼女に理想の跳躍について聞いてみると…

喜久里彩吹選手
「ちゃんと乗り込む、フワフワしちゃうくせがあるんですよ、バネでビヨンビヨンビヨンみたいな、グイグイグイっていうのが理想です」

高く飛ぶバネと走りのスピードを生かして、前に跳ぶ力が求められる跳躍競技を、擬態語多めで表現する喜久里選手。

喜久里彩吹選手
パンパンパンパンっていうのが、ファンファンファンファンって感じだったのですけど、今グイグイグイグイっていうのが理想。走りが良くなって、よくなりました、フフ」

Qよく笑いますよね?
「やばい、どうしよう」

「手拍子おねがいしまーす」と客席に声援を求めるなど、楽しみながら競技に挑む喜久里選手。その躍進の要因は『走りのスピード』を磨いたことだと言います。

喜久里「パチンパチンパチンと突っ込む」
後間監督「若干前傾よりで入っていかないと…」

転機は、陸上の実業団チーム、友睦物流(ゆうぼくぶつりゅう)の後間英生(こしま ひでき)監督との出会いでした。

指導が始まったのは中学2年の秋。

後間監督
「最初に見た印象は、すごく線が細くて非常に弱々しくて、全くと言っていいほど走れなかったですから」

重視したのは走りの基礎。体幹を鍛え、走りに必要な重心移動を学んでいきました。

喜久里選手
「走りって簡単というかそんな深いと思っていなかったんですけど、めっちゃ深いなぁみたいなことを知りましたマジで」


後間監督
「全てにおいて走り自体が一冬超えるとガラッと変わったんですよね。アドバイスしたからできるようになもんじゃないと思うんですよ。彼女の中でこうなりたいって意識的な部分の改革がすごく表れている。じゃないと急激に変わらないです人って」

ひと冬で100mのタイムが1秒ほど、走り幅跳びはおよそ50センチ記録をのばし、高校から三段跳びに挑戦すると、驚きの記録を連発しています。

ただ躍進の要因はそれだけではありません。中学まではチームに属さず、個人で練習していた陸上競技高校で続けるかは迷いがありました。

喜久里選手
「頑張ろうって思うけどきついメニューを一人でやるのは限界がある感じが、あったなって思います。辞めるつもりだったんですけど本当に」

そうして進学校の那覇国際高校に入学。でもそこには仲間がいました。

「先輩ちょっと(動きが)小さい感じがした」
「身長じゃないよ」

喜久里選手
「部活めっちゃいいなって、本当に憧れていたんですよ中学のころから。同級生や先輩方と練習できるのが、もう楽しいです」
「青春、青春ですね、だから頑張りたい」

陸上部の部員 
「笑顔でいつもきつい練習も笑顔で頑張っているから元気をもらえて自分も(喜久里)彩吹みたいになりたいみたいな、憧れ」

「ライバルです、100mは中1から結構目指していて彩吹を。彩吹がいることで目標が近くにいるから、いい練習ができています」

仲間と一緒に練習できる喜びを感じて大きな成長を見せる喜久里選手。来月にはアンダー16の全国大会を控え、三段跳びでの初の全国タイトル獲得が見えています。


喜久里選手
「日本一はやっぱり全然違うと思うので、やっぱチャンスはつかみ取りたいと思います。やっぱ勝ちたいっていうのはあります、楽しむ中でも勝ちたいっていうのは」

陸上を楽しんでそのジャンプに大きな可能性が広がっています。