今年7月に大分県内を襲った記録的豪雨から3か月が経ちました。日田市の小鹿田焼の里では10月、共同窯による「窯焼き」が再開。復興に向けて少しずつ歩み始めています。
国の重要無形文化財・小鹿田焼の窯元が軒を連ねる日田市源栄町皿山。里のシンボル、共同窯ではこの日、器を焼く「窯焼き」に向けた準備が進められていました。
(窯元・坂本拓磨さん)「水害があってから初めて焼くので、いつもよりペースが遅いが、(日常に)戻る第一歩」
7月の記録的豪雨では、土を砕くための「唐臼」が流されるなど9軒すべての窯元が被災。焼き物づくりが一時中断する事態となりましたが、復旧作業が進められ3か月ぶりに窯焼きが再開しました。
(窯元・黒木昌伸さん)「窯を焼かないと仕事も成り立たないので、順調に焼ければいいな」
取材した日は坂本浩二窯と黒木昌伸窯の2軒が交代で共同窯を使います。燃料となるのが薪。久々の窯焼きに薪をくべる手にも力が入ります。
焼き上がりは真っ赤に燃え上がる器を取り出して慎重に判断します。4日後、窯を開ける時がー。器を1つ1つ丁寧に取り出し、仕上がりを確認します。
ツヤもあり良い出来ばえに喜びをかみしめる窯元たち。里に戻りつつある観光客の姿も励みに、この難局を乗り越えたいと前を向きます。
(窯元・坂本浩二さん)「本当にスタートになったという感じで、観光客も来ているので、そういうのも励みになるし、今回焼き終わってうれいしいことだし、良かったと思う」
共同窯にようやく火が入った小鹿田焼の里には唐臼の音とともに少しずつ冬の足音が聞こえています。