2年後の西暦2025年以降、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となります。その結果、日本は超高齢化社会になり、経営者の高齢化が本格的に始まる、いわゆる「2025年問題」が中小企業にとって深刻な課題となっています。その解決策として期待されるのが「事業承継」です。大分県内の成功事例の現場を取材しました。

焼き上がるとすぐに売り場に並べられるパン。多彩なラインナップが食欲をそそります。大分市古国府にある「シェルブール」は創業40年を超える老舗のベーカリーです。大分市民に長年愛されてきましたが、経営者の高齢化で、事業の存続が危ぶまれていました。

(シェルブール・松本麻衣子社長)「いちから全部やるよりも基盤ができていて、お客さんもついているので」

廃業の危機を救ったのが、大分県臼杵市で医療・介護用品の販売会社を経営する松本麻衣子さん(49)でした。

(松本麻衣子社長)「不安は全くなかったです。私はお話をいただいたときにパンがもともと大好きだったので、イメージがわいてきてワクワクした」

松本さんはおととし10月にシェルブールを事業承継。創業時代から働いているスタッフをはじめ、先代から引き継いだパンづくりのノウハウは変えず、新たな売り出し方に挑戦しています。

去年10月には店舗の大規模リニューアルを敢行。バーカウンターのように開放感がある、おしゃれな内装で新たな客層も取り込み、売り上げアップにも成功しました。

(松本麻衣子社長)「創業40年以上経つので古き良きものをいかしつつ、新しい色を入れていくことで時代に合わせた新しいものができるのではないか」

県事業承継・引き継ぎ支援センターによりますと、県内で第三者が事業承継した成約件数は年々増加。今年度も1月時点で30件に達しています。ただ、2年後から始まる「2025年問題」では、全国で団塊世代の経営者246万人が70代を迎え、半数の後継者がいないため、事業承継のさらなる普及が不可欠です。

(県事業承継 引き継ぎ支援センター・山村文彦統括責任者)「廃業する中小企業がまだまだ多いと捉えておりますので、県内一円で相談会の開催成約事例集の紹介であったり、ユーチューブを開設して周知徹底を図っています」

こうした事業承継には経営者の熱意も欠かせません。