多くの被害者が55年もの間、未認定のまま取り残されているとみられているカネミ油症事件について、長崎県が未認定者を対象にした独自の実態調査を今月末から始めることが分かりました。

長崎県独自の実態調査は、県が把握しているカネミ油症未認定患者810人のうち、現在、国によって進められている『次世代調査の参加者』や『連絡拒否者』らを除く県内在住の158人を対象に行われます。

今月末から来月上旬にかけて調査表を発送し、年度内に結果を取りまとめる方針です。

カネミ油症の未認定者を対象に県が独自調査を行うのは2009年度に続き2度目です。

1968年、市販の油に製造過程で化学物質PCBが混入して起きたカネミ油症事件は発覚時、14,000人を超える人が被害を届け出、実際の被害者は数万人に上ると推定されていますが、“血中ダイオキシン類濃度”を柱とした『診断基準』が壁となり、患者に認定された人は死者も含み全国でおよそ2,300人に留まっており、ことし2月、カネミ油症被害者五島市の会が 県に対し「未認定患者の実態把握と認定基準の改定を国に働きかけるよう」求めていました。

県では “診断基準の見直し”につなげるため、調査結果を国に提供するとしています。