住吉キャスター:
長崎の#暮らし#経済ウイークリーオピニオン。今週も平家達史NBC論説委員とお伝えします。

平家達史NBC論説委員:
今回のテーマはこちらです。

長引く人手不足 解決のヒントは

これから企業の採用活動が本格化する時期ですが、いま人手不足が県内のみならず、全国的な課題となっていますので、少しでも参考になればと思います。

住吉:
雇用情勢を示す一つの指標として有効求人倍率がありますが、今年に入って県内の有効求人倍率は1.2倍前後で推移しています。
これは言い換えると、求人を出している企業12社に対して、職を求める人が10人。つまり2社は採用したくてもできない、ということです。
平家:
日銀長崎支店が3月に公表したレポートによると、この人手不足は「景気回復による労働需要の増加」よりも「構造的な労働供給の減少による部分が大きい」とされています。
つまり仕事が増えたのではなく、働き手が減ったからということです。

住吉:
長崎県は特に人口減少高齢化が課題となっていますから、その影響も大きそうですね?

平家:
中でも人手不足が深刻なのが、土木・建築や介護サービス、接客や自動車運転などの業界とされています。このうち県内のタクシー会社に採用の現状を取材しました。
タクシーや貸切バス事業を手がける長崎市のラッキー自動車。
乗務員の数は10年前の7割に減っていて、新人の採用は年々厳しさを増しています。
ラッキー自動車 営業本部 渕上 一大 統括本部長「ハローワークと弊社のホームページで乗務員の募集をしてるんですけれど、これが悲しいことにほぼゼロに近い数字です。車離れが進んで、車の運転が苦手っていう若い方もいらっしゃるのかなというのは感じるところではありますね」
売り上げはコロナ前の水準に戻りつつある一方、乗務員の平均年齢は63歳、全国平均の60.3歳を上回っており、人手不足は深刻な経営課題となっています。

渕上 一大 統括本部長「いま頑張っていただいている方の退職ってなった時のことを考えたらですね…。(事業を)存続していくためにも、乗務員の確保というのは非常にいまから大事なところになってくるかと思います」

■ 若年層の県外流出 長崎県での採用活動は

平家:
こちらは全国と長崎県の人口ピラミッドなんですが、注目したいのが20歳から30歳の世代です。全国がなだらかな減少となっているのに対して長崎県はくびれた形となっています。これは進学や就職による若年層の県外流出の多さを示しています。

これを見ると、県内企業が、県内の大学生や高校生だけをターゲットとして採用活動をするのは、かなり厳しいと言えます

住吉:
となると、企業は今まで以上に”採用活動の幅を広げる努力”が必要になりそうですね。

平家:
企業の採用担当者には、就職を控えた学生がどんな考えを持っているかを知ることも求められると思います。
長崎大学の学生に「働きたいと思う会社の条件」について聞いてきました。


男子学生「日曜日が休みのところで働きたい。(給料にそこまでこだわりない?)あんまりないですね。趣味の方にあてたいなと思ってて時間を」
女子学生「福利厚生が整ってて、育児休暇だったり、介護のための休暇が取りやすい環境だったら、なおいいかなと思っています」
男子学生「あんまり残業時間とかを取られて自分の生活を犠牲にまではあまりしたくない
女子学生「休日は気にします。家庭を持ったときに家庭を優先したいので。それを優先できない環境なら自分の人生にいらない」
女子学生「職場環境がいいところがいいです」
女子学生「給料とかが良くてもやりがい感じないと、長い時間やっていくのに無理かな」
女子学生「自分の好きなこととかを仕事にしながら、かつ、しっかり稼げて定年まで働けたらベストなんじゃないかなと思います」

住吉:
仕事もプライベートも大切にしたいという人が多いようですね。

平家:
給与よりも福利厚生を重視する傾向は全国的にも同様で『給与を上げれば人は集まる』という考えは過去のものとなりつつあります。

■ 雇用のミスマッチの要因は…

平家:
雇用する側とされる側の認識のずれ、いわゆる "ミスマッチ" は採用活動だけでなく、就職後の離職率にも影響しますので、この解消は人材確保において欠かせない要素といえます。

住吉:
ではミスマッチをなくすにはどうすればいいのでしょうか?

平家:
雇用におけるミスマッチは主に
● 仕事内容
● 雇用条件
● 能力
● 労働環境 の4つが指摘されています。
その要因を、企業側と学生側に分けてみていきます。

まず『企業側の要因』は「企業の良い情報しか開示していない」ということです。やはり、厳しい面もあらかじめ学生に伝えておくことが大切です。
次に「採用ターゲットが明確になっていない」ということ。自らの会社が必要としている人材像を明確に認識しないまま採用すると会社側として人材を活用できません。
そして『ガクチカ=“学生時代に力を入れたこと”』と面接に偏った採用です。『ガクチカ』や面接については、今や対策がネット上などに溢れています。
入社後はテクニックに隠れていた素顔が出ますので、適正テストなどを利用した多方面からの評価が必要です

住吉:
一方の『学生側の要因』はなんでしょうか?
平家:
まずは『準備不足』要は、情報収集不足・企業研究不足です。
現在の就職活動は短期決戦化しています。本来は早い時期から考え始めるべきです。それは『働くということに対する認識の甘さ』につながっています。

次に『テクニック偏重』です。就活はテクニックに走る傾向がありますが、裏返せば
どの学生のアピールも採用側からすれば同じ内容に見え、本来のアピールポイントを見せることができません。

そして『大企業・大都市偏重』です。
“就職”より“就社”の意識が強いということです。特定の会社への憧れを否定するものではありませんが、この会社で何がしたいのか、自分ならば何に貢献できるのかということを会社側は知りたがっています。

私も採用を担当したことが何度かありますが、私の経験からもこれらのことは当てはまると思います。

これらに注目して新たな取り組みを始め、実際に成果を上げているケースが県内にもあるということで取材してきました。